- 開催日時
- 2015年10月29日(木)15:00 - 17:00
- 場 所
- 総合地球環境学研究所 講演室(⇒アクセス)
- 報 告 者
- オギュスタン・ベルク(欧州学士院員、社会科学高等研究院)
【プロフィール】
オギュスタン・ベルク、1942年モロッコ生まれ。フランス国立社会科学高等研究院教授、環世界学と風土論専攻。欧州学士院員、福岡アジア文化賞大賞受賞(欧米人として初)。著書に『風土の日本』(ちくま学芸文庫)、『風景という知』(世界思想社)等。 - 題 目
- 今西自然学と環世界学の関連について
- 事前資料
MESOLOGY
in the light of Yamanouchi Tokuryû’s Logos and lemma
※ 事前にお読みいただき、セミナーにご参加ください。- 使用言語
- 日本語
- 概 要
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今西錦司の提唱した自然学は今、多くの学者から無視され、場合によって村八部されてきたとさえも言える。今西は確かに、その自然学を合理的な方法論として構築しなかったわけで、それを“行為的直観の生態学”の状態に残したと言える。しかし、問題はそこにとどまらない。自然学は、今西自身がそれを明らかにしなかったが、環世界学(mésologie)と基本的な類似性を持っている。そういう意味で、自然学が、古典近代科学の本質的な限界を乗り越える可能性を潜めている。古典近代科学の本質的な限界とは、対象と人間存在との具体的なかかわりを抽象・外閉したので、しまいにはこの地球上の人間存在の可能性そのものも外閉・消滅する危険性を本質的に帯びているということである。我々は今、古典近代科学の世界観を前提にした現代文明のそういう構造的な危機を乗り越えるために、人間存在と自然との関係を断った科学ではなく、ハイゼンベルクが科学の王者である物理学そのものの方法を以て明らかにしたように、その関係こそを対象にした科学、いいかえれば和辻哲郎の定義した人間存在の構造契機としての風土性・環世界性(médiance)を認めた学として、古典近代自然科学の限界を超克した環世界学としての自然学を必要としている。
- 問い合わせ
- 研究高度化支援センター エマニュエル・マレス