- 開催日時
- 2015年9月14日(月)15:00 - 17:00
- 場 所
- 総合地球環境学研究所 講演室(⇒アクセス)
- 報 告 者
- オギュスタン・ベルク(欧州学士院員、社会科学高等研究院)
【プロフィール】
オギュスタン・ベルク、1942年モロッコ生まれ。フランス国立社会科学高等研究院教授、環世界学と風土論専攻。欧州学士院員、福岡アジア文化賞大賞受賞(欧米人として初)。著書に『風土の日本』(ちくま学芸文庫)、『風景という知』(世界思想社)等。 - 題 目
- 環世界学の展望
- 使用言語
- 日本語
- 概 要
-
人間と自然の関係を総合対象にした実証科学として初めて(1848年に)mésologieを提唱したのは、フランス生物学会の創立者の一人、コントの弟子で、医者シャルル・ロバンCharles Robinだった。十九世紀に栄えた後、実証科学として幅が広すぎたその学は、還元主義的な決定論に陥って、生態学の発展や人文地理学の可能主義possibilismeの影響によって、学界から消えたが、同時に、まったく別な存在論的な基盤をもった学として、新しいmésologieが現れた。それは、生物の主体性を前提にしたユクスキュルJakob von Ueksküllの環世界学(Umweltlehre)と、人間の主体性を前提にした和辻哲郎の風土論であった。主体にとって実際に存在するもの(つまり現実)は、二元論的に対象化された抽象的で普遍的な環境(Umgebung, 自然環境, environment)ではなく、特殊で、具体的なmilieu (Umwelt, 人間風土を含めた環世界)である。とはいえども、ユクスキュルも和辻もそういう環世界学が必ず持つ近代自然科学の対象化した地球環境との存在論的・論理的なかかわりを明らかにしなかった。ここでは、人類が長期的に地球上に生き延びるために必要になってきた総合地球環境学の欠かせない、存在論的・論理的な基盤を持った環世界学の基本概念と展望を紹介する。
- 問い合わせ
- 研究高度化支援センター エマニュエル・マレス