【開催報告】 第80回地球研市民セミナー

「おいしいアフリカ!――マリ・ブルキナファソ・京都 食から考える地域の暮らしと地球の未来」

「シェアするアフリカ、こころを開くアフリカ――西アフリカの「食」をめぐる風景」

2019年6月21日(金)に第80回地球研市民セミナー「おいしいアフリカ!――マリ・ブルキナファソ・京都 食から考える地域の暮らしと地球の未来」をハートピア京都にて開催しました。

今回は、講師として京都精華大学学長ウスビ・サコさんと地球研研究員/京都精華大学アフリカ・アジア現代文化研究センター研究コーディネーター清水貴夫さんをお迎えしました。テーマは食でしたが、食を通じて地域と関わること、人と関わること、環境と関わることについての様々な気づきがもたらされました。

(講演内容)

セミナーは地球研安成哲三所長のあいさつで始まり、地球研と京都精華大学が、サコ学長のリーダーシップのもと、2018年から学術交流協定を結び、共同で研究や教育に取り組んでいることが紹介されました。

続いて、進行役は、モデレーターの地球研寺田客員匡宏准教授に移り、このセミナーが、1)地球研と京都精華大学の学術交流協定、2)清水さんの新著『ブルキナファソを喰う!――アフリカ人類学者の西アフリカ「食」のガイドブック』(あいり出版、2019年)、3)清水さんが地球研の研究員と京都精華大学の研究コーディネーターを兼任し、地球研と京都精華大学の学術交流を体現していること、という3つの縁によって開催されたことを説明しました。

そして講演に移り、まずはじめに、清水さんの講演が行われました。清水さんは、アフリカの概略を手短に紹介した後、西アフリカ食の基本要素として、ミレット(トウジンビエ)やソルガム(モロコシ)などで作られる「練がゆ」(現地語で「ト」)、コメ、スンバラ(アフリカ納豆)を紹介されました。納豆と魚出汁という、グルタミン酸とイノシン酸からなるアフリカ食のおいしさについて語りました。アフリカ納豆と京都・大徳寺納豆の試食も行われました。

続いて2つ目の講演はサコさん。サコさんは自己紹介で、ご自身が複数言語を話すことができると語られましたが、それは、マリの他民族社会の中でのコミュニケーションの必要性から得られたものだそうです。サハラ交易を含むマリの歴史と文化、マリの中での食の多様性(北のベルベルやトゥアレグ、フラニなど遊牧民の「肉を主体とした食」と、南のニジェール川沿岸の漁民ボゾの「魚を中心とした食」など)、一夫多妻制が認められている社会の中で70人を超えることもある家族が集まっての食事風景や、長老が敬われる食の慣行などについて話しました。

対談では、食の多様性と味について、食感の好みについてなどが話し合われるとともに、食の慣行についても話されました。マリでは、食とは、人と人とのつながりの中でとても大切なものであり、客人はとても大切にされること、その底に流れているのは、「あるものをシェアする」という精神であることが、サコさんから語られました。それは、持続的な地球環境への態度でもあるのではないかと寺田がまとめました。

会場との質疑も活発に行われました。「日本でアフリカの食はどこで食べられるのか」、「食事だけではなく、デザートやお茶はどうなっているのか」など様々な質問が出て、お二人が丁寧に答えました。「アフリカに旅行したいのでアドバイスを」との質問に、サコさんは、ホテルに泊まる旅などではなく、地元の人を頼ってのホームステイなどを薦め、「こころを開き、人と触れ合う」ことから得られるものの大きさを語りました。これは、地球環境への向き合い方への大きなヒントとなるものではないかと寺田がまとめました。

参加者は128人。サコさん、清水さんの人柄もあり、終始和やかで笑いの絶えない楽しい会となりました。

(文責・寺田匡宏)

■当日の様子

講演するサコさん

講演するサコさん

講演する清水さん

講演する清水さん

会場の様子

会場の様子

対談の様子

対談の様子

  • Page Top
  1. HOME
  2. 成果発信
  3. イベント
  4. 地球研市民セミナー
  5. 【開催報告】第80回地球研市民セミナー
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
総合地球環境学研究所

〒603-8047 京都市北区上賀茂本山457番地4

Tel.075-707-2100 (代表)  Fax.075-707-2106 (代表)

みんながわかるちきゅうけん