[リサーチ・コロキウム]
東アジアのホーリズム(全体論)から考える人新世下のパンデミックへの文化的対応

目的

人新世の開始を20世紀半ばごろの「大加速」の時点ととらえると、新型コロナウイルス感染症COVID-19は人新世下で起こった初のパンデミックである。欧米では、COVID-19やCorona pandemicなどと呼ばれるが、中国では、「新冠疫情灾难(災難)」、韓国では「코로나 재해(コロナ災害)」、日本では「コロナ禍」などと呼ばれる。漢字起源の「災・難・禍」という後三者は、前二者と異なるニュアンスを持つ。この差異は、地球システム的現象に対する人間圏のレジリエンスが文化に規定されていることを示す。システムの中のサブシステムとしての文化の問題は人新世とCOVID-19の問題を考える上で重要である。東アジアには天概念や風土論など人新世的なシステム論とは異なるホーリズム(全体論)的なシステム論が存在するが、それはグローバルな現象にどのように関連するだろうか。そして、現在のコロナ対応にどのようにそれが現象しているだろうか。

本コロキウムでは1)人文学の立場から寺田匡宏が、風土概念の系譜的検討から認識と身体の問題としてコロナ禍をとらえる方法論を模索し、2)アルゴリズムとデータの専門家であり現代中国のサイバー事情にも造詣の深いステファン・グルンバッハと、近年再興著しい地政学研究の徒であるカロリーヌ・ザナンが、EU諸国(フランス、ドイツほか)とアジア諸国(中国、韓国、シンガポール、日本ほか)のコロナ・アプリのタイポロジーをもとにして、サイバー空間におけるプラットフォーマーやデータの地政学の問題からコロナ禍を論じる。

上記を通じてコロナ禍を文化と全体論の視点から論じる手がかりを得ることを目標とする。


日 時
2021年12月13日(月)16:45-19:00
会 場
オンライン(Zoom)
主 催
令和3年度所長裁量経費研究支援充実経費(B)COVID-19対応研究「東アジアのホーリズム(全体論)から考える人新世下のパンデミックへの文化的対応――「災、難、禍」と「風土」概念からのアプローチ」(代表・寺田匡宏)
共 催
トヨタ財団2018年度研究助成プログラム特定課題「先端技術と共創する人間社会」助成共同研究「人間と計算機が知識を処理し合う未来社会の風土論」
(代表・熊澤輝一)
言 語
英語
プログラム
  1. 16:45-16:50(JST) / 8:45-8:50(CET)
  2. 「趣旨説明」

    寺田匡宏(地球研、客員教授)

  3. 16:50-17:10 / 8:50-9:10
  4. 「文化、環境、身体:コロナ禍と人新世の風土論」

    寺田匡宏

  5. 17:10-17:20 / 9:10-9:20
  6. ショート・ディスカッション

  7. 17:20-17:50 / 9:20-9:50
  8. 「プラットフォーマー、パンデミック、強化される非対称性:サイバー空間から見るコロナ・アプリ」

    ステファン・グルンバッハ (フランス国立情報学オートメーション研究所、
    シニア・サイエンティスト)

  9. 17:50-18:05 / 9:50-10:05
  10. 「コロナ禍、テクノロジー、地政学:コロナ・アプリのアクター分析」

    カロリーヌ・ザナン(パリ第8大学地政学研究所/リヨン高等師範学校、
    修士課程)

  11. 18:05-19:00 / 10:05-11:00
  12. ディスカッション

    指定討論者:小野聡(千葉商科大学、専任講師)


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