- 日 時
- 2019年5月16日(木)16:00 - 17:30
- 場 所
- 総合地球環境学研究所 セミナー室 1・2 (⇒アクセス)
- 演 者
- 総合地球環境学研究所 金 セッピョル
- 要 約
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発表者は、葬儀の変化メカニズムに関する人類学的研究を進めている。本発表では韓国の伝統葬儀保存運動を事例として取り上げる。
韓国では、儒教が国教として採択された朝鮮時代から、一人あるいは夫婦単位で土葬することが推奨され、朝鮮時代中期には一般化したとみられる。ただし、土葬を中心とする儒教的葬儀は、還暦以上生きて、子孫(男子)がおり、村の境界内で死を遂げた 死者に対して行われるものであった。それに対して夭折、事故死など「異常死」を果たした死者は、火葬して散骨されるなど、「正常死」を果たした死者とは区別された。
このような葬儀のあり方は1960年代の産業化や都市化を経て多少変わってきたものの、火葬に対する拒否感は 相変わらず健在していた。それが土葬による墓地の肥大化や環境破壊を問題視して大々的に行われた火葬推進運動をきっかけに急増することになった。また、火葬後の遺骨の行方についても様々な方法が提案されたが、現在、最も望ましいとされる方法は墓地の占有率が低い自然葬(散骨)・樹木葬である。
本発表では、人々はこのような急激な葬儀の変化をいかに経験し、また対処しているかを伝統葬儀保存運動を通して考察し、日本とは異なるメカニズムで進行している韓国の葬儀の変化のあり方を展望したい。
- 連絡担当者
- 総合地球環境学研究所 蒋 宏偉