【報告】中学生向けの実験体験講座を開催しました。

「おしっこから肥料ができる!?」

2017年1月14日(土)に地球研にて中学生向けの実験体験講座「おしっこから肥料ができる!?」が開催されました。朝から雪がちらつく中、4人の中学生が参加してくれました。

講師は「サニテーション価値連鎖の提案-地域のヒトによりそうサニテーションのデザイン-」のプロジェクトリーダー船水尚行教授です。船水教授からは、なぜ、尿から肥料を取り出す技術を開発しているのか、世界各地のサニテーション(衛生設備、下水設備)の現状など、プロジェクトの取組みなどの紹介がありました。

私たちの尿には、肥料のもとになる窒素やリンが含まれています。今回の講座では、人工的に作った尿に塩酸を加えて酸性にし、さらにホルムアルデヒドを加えて窒素肥料の成分を沈殿させ、水酸化ナトリウムで溶液を中和してから、沈殿物を取り出すことを目指しました。中学生たちは、講師の船水尚行教授や伊藤竜生助教(北海道大学)の指導のもと、白衣や保護ゴーグル、ゴム手袋を身につけて、塩酸やホルムアルデヒドを使った実験を体験しましたが、残念ながら1時間の講座の中では沈殿が生じませんでした。

講座の終了後、船水教授と伊藤助教は、塩酸によって十分にpHを下げきれていなかったこと、使用したドラフトという排気装置に外の冷気が入ってきたため反応が進みにくくなったことの2点が原因ではないかと考察しました。また、反応がゆっくり進むと粒子が細かくなることも発見しました。翌日には、無事に沈殿が生じていたので、中学生のみなさんには、窒素肥料を郵送することができました。春になって植物を育てる際に使っていただきたいと思います。実験が必ずしも成功するものではないこと、うまく行かなかった時に原因を探ることで、新たな発見につながる可能性があることなど、印象深い講座になったのではないでしょうか。

■当日の様子

参加者に語りかける船水尚行教授

参加者に語りかける船水尚行教授

実験を指導した伊藤竜生助教

実験を指導した伊藤竜生助教

慎重に試薬を加える参加者

慎重に試薬を加える参加者

ドラフト内で試薬を加える参加者

ドラフト内で試薬を加える参加者

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