人間文化研究機構(NIHU)基幹研究プロジェクト「アジアにおける健康と環境:新たな人間と環境との関係性としての「エコヘルス」概念の再構築に向けて(通称 NIHU エコヘルスプロジェクト)」では、急速な社会・環境変容が進むアジア地域において、「人の健康」を日常の暮らし、生態環境、生業との関わりの中で模索する「エコヘルス」の概念を人文学の視点から再構築することを目的としている。本研究の一環として総合地球環境学研究所では、アジアにおける健康概念の展開を、時間軸(歴史性)および空間軸(地域性)の二軸の中で検討することとしている。
本研究会は、歴史学の視点から東アジアにおける「健康」観念・「健康」実践の歴史的展開を考察するための方法や史料について検討することを目的としている。日本・中国・台湾・韓国(朝鮮半島)といった東アジア諸地域では、近代以降、生物医学に基づいた「健康」概念が導入された。だが、その含意や実践のありようは各地域・各時代の社会経済的、政治的、文化的、生態環境的条件により多様であったと考えられる(鹿野政直「健康観にみる近代」『鹿野政直思想史論集第 5 巻』岩波書店、2008 年)。歴史学の分野では、1990 年代以降、医療や衛生、疾病を扱う医療社会史研究が発展してきたが、そこでは近代国家体系における「病む身体」とそのコントロールに焦点があてられてきた。しかし、「健康」概念は極めて多義的であり、必ずしも「病」の対極としてのみ見ることはできない。
そこで、本研究会では、東アジアの各時代・地域における医療史、衛生史、疾病史などの研究を、「健康」の視点から問い直すとともに、「健康」を歴史的にとらえるための方法について、様々な分野の研究者を交えて議論したい。
- 日 時
- 2015年10月26日(月) 10:00 - 16:00
- 場 所
- 総合地球環境学研究所 セミナー室1・2(⇒アクセス)
- 主 催
- 総合地球環境学研究所
- NIHU・エコヘルス
- 中国環境問題研究拠点
- 問い合わせ
++プログラム++
- 10:00 - 10:15 ハイン・マレー(総合地球環境学研究所)
- 10:15 - 10:30 福士由紀(首都大学東京)
- 10:30 - 11:00 戸部健(静岡大学)
- 11:00 - 11:30 趙菁(金沢大学)
- 11:30 - 12:00 キム・ヨンス(延世大学)
- 12:00 - 13:00 昼食
- 13:00 - 13:30 黄靖嵐(東海大学)
- 13:30 - 14:00 アレックス・ベイ(チャップマン大学)
- 14:00 - 14:30 福士由紀(首都大学東京)
- 14:30 - 15:00 市川智生(長崎大学)
- 15:00 - 16:00 総合討論
NIHU エコヘルス研究について
本研究会の趣旨
近代中国都市における水と健康:中国医学の視点から(仮)
養生所・保養所の変遷から「養生」を考える
近現代韓国における健康観:衛生概念の受容と理解
肉食観にみる明治日本における「健康」意識の変容
Bottom up Schistosomiasis Prevention in Yamanashi Prefecture
近現代中国における「健康」の歴史研究:現状と課題
近現代日本の健康観に関する研究状況と課題
・「健康」の歴史研究
・エコヘルス研究と歴史学
研究会の詳細については こちら(PDF) をご参照ください。