2018年12月2日、滋賀県立琵琶湖博物館にて第25回地球研地域連携セミナー「地域のにぎわいと湖国の未来 魚のゆりかご水田~5つの恵み~」を開催しました。
基調講演では、中村貴子先生(京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 准教授)に「住民主体の地域ビジネスによる地域活性化」と題し、お話をいただきました。
人口が減少する日本において、いかに地域のアイデンティティーを作っていくか、地域コミュニティを作っていくかが課題です。地域資源を磨き続けるために、地域の中心となる人物の存在や、大学等との連携、増資、海外進出などの国際化を図り、オンリーワンの地域活性化に取り組むことが重要と話されました。
次に、平成30年度 田んぼ大好きふるさと農村子ども絵画コンクール 表彰式が行われました。
本コンクールは、子供からお年寄りまで、みんなが生き生きと暮らす農村の実現をめざし、農業・農村の大切さ、また将来についてみんなで考えることを目的に「滋賀県」ならびに「滋賀県世代をつなぐ農村まるごと保全推進協議会」が実施しているものです。
受賞された3名の小学生へ賞状が授与されました。
パネルディスカッションでは、はじめに上原佳敏(地球研研究員)より、「ニゴロブナは生まれた田んぼに帰ってくる?!」と題し、話題提供が行われました。
研究チームでは、魚の耳石(個体の履歴情報のつまったタイムレコーダー機能をもつ部位)の中のストロンチウムの安定同位体を調べ、どこで成長してきたのか調査し、魚のゆりかご水田で育った魚の子はびわ湖で成長したのち数年後、卵をうみに水田に戻ってきていることが分かったと報告しました。
その後の討論では、五方によしとして、
- 戸田 直弘さん(守山漁業協同組合)からは「生き物」によし、
- 大久保 卓也 (滋賀県立大学 環境科学部 教授)からは「びわ湖」によし、
- 堀 彰男さん(せせらぎの郷 代表)からは「農家」によし、
- 大塚 光子さん(滋賀県生活協同組合連合会 専門委員)からは「地域(消費者)」によし、
- 中村 大輔さん(草津市立渋川小学校 教諭)からは「教育」によし、
地域のにぎわいを取り戻すための要素はたくさんあることが分かりました。今後もアイデアを生かしていけるデザインを描き、湖国の未来について引き続き活動の輪を広げていくことが大切です。
当日は160名の来場者があり、魚の展示や、魚のゆりかご水田ジオラマ展示や、新米やふなずしの試食会などのサイドイベントも大好評でした。お越しくださった皆様、ありがとうございました。
当日の様子はこちらからYouTubeにてご覧いただけます。
■当日の様子

中村貴子先生による基調講演

田んぼ大好きふるさと農村子ども絵画コンクール
表彰式

パネルディスカッション

田んぼ大好きふるさと農村子ども絵画コンクール
受賞作品展示

生き物展示