井田 徹治 2010/06/18『生物多様性とは何か』岩波書店

 ■目次

はじめに
 
第1章 生物が支える人の暮らし
第2章 生命史上最大の危機
第3章 世界のホットスポットを歩く
第4章 保護から再生へ
第5章 利益を分け合う――条約とビジネス
終章  自然との関係を取り戻す
参考文献                             *丸括弧内数字は引用頁、〔 〕による補足は引用者  


■■第1章 生物が支える人の暮らし
◆生態系サービス
 ミツバチの受粉やハゲワシの廃棄物処理のように、生物や生態系が人間にもたらしてくれる自然の恵みのこと。「サービス」は経済学では「無形財」の謂。生物多様性が人間にとって大切なのは(ひとつには)この生態系サービスがあるからだ。
 生態系サービスは四つの類型に区分可能である。
 「供給サービス」は、木材・海産物・食糧・水・燃料などを人間に供給してくれる生態系のはたらき。また医薬品などのなかには天然の植物・菌類などがつくる物質をもとに開発されたものが数多くあり、それら物質や動植物を「遺伝資源」「生物資源」と呼ぶばあいもある。
 「調節サービス」は、水などの物資やエネルギーのながれをコントロールする生物や生態系のはたらき。たとえばマングローブ(あるいは珊瑚礁)は高潮・津波・暴風雨から沿岸の土地を守り、その被害を軽減するはたらきをもつのみならず、多くの魚介類の産卵・生息の場ともなっている。また森林がもつ気候の安定化や調節機能も重要である。
 「基盤サービス」は、さまざまな生態系を形成・維持するうえでの基盤となるサービス。植物の光合成・海中のプランクトン・微生物による栄養分の循環などがあげられる。
 「文化的サービス」は、伝統や文化的活動・精神的活動に関連する生態系の恩恵。現代では、森林浴(セラピー)・ダイビング・エコツアーなどにみられるように自然や生態系がレクリエーションの対象・機会となっている。とくにエコツーリズムはアフリカなど貴重な自然がのこる地域で生物多様性を持続的に利用していく手段として注目され、多くの国で急成長するビジネスとなっている。
◆生物多様性の経済学
 近年、生態系サービスを経済的な価値に換算して評価しようとする研究が進んでいる。たとえばロバート・コンスタンザらの研究グループの試算では、1年間1ヘクタールあたりの生態系サービスの価値(1994年の米ドルレート)に地球上の生態系の総面積をかけあわせた年間生態系サービスの総価値(フロー)は33兆ドルにのぼる。これは当時のGDP総額が18兆ドルと比したとき、その1.8倍にあたる。
 生態系サービスはエネルギーや物質の動きを指し、経済学でいうフローにあたる。これにたいしサービスの供給源となる森林・海・湿地などの生態系/生物多様性はサービスの基礎となるもので経済学でいう資本にあたる。コンスタンザらはこれを「自然資本 natural capital」と名づけ、その保全の重要性を指摘している。
 またグレッチェン・デイリーも『自然のサービス』において、市場経済では評価されない生態系サービスや自然資本の重要性を指摘している。これらは生態系サービスを自然資本の価値を経済的/金銭的価値に還元するのではなく、むしろその価値をただしく認識しようとする試みといえる。


■■第2章 生命史上最大の危機
◆レッドリスト
 国際自然保護連合(IUCN)の「種の保存委員会」によって数年間隔で発表される絶滅危惧種リストのこと。レッドリストは生物種を「絶滅種」「野生絶滅種」「絶滅の恐れがきわめて高い種」「絶滅の恐れが高い種」など8つのカテゴリーに分類している。
◆大絶滅の歴史
 現在の生物は40億年ほど前に最初に地球に誕生した生物がさまざまな種にわかれて形成されてきた。約5億4000万年前の古生代カンブリア紀に動物種の分化が爆発的に起こった。それ以後急速に生物種数が減少した時期が5つある。
 最初の大絶滅は4億4000万年前(古生代オルドビス紀末)に発生し、三葉虫など生物の85%が絶滅した。 第2期は3億5000年前(古生代デボン紀末)で、生物の75%が姿を消した。
 第3期にあたる2億5000年前(古生代ペルム紀末)の絶滅は地球史上最大のもので、海の生物の95%以上が絶滅、有孔虫・多くの珊瑚が姿を消し、残存していた三葉虫など古生代の生物はすべて絶滅している。
 第4期は2億1500万年前(中生代三畳紀末)で、1500万年という比較的長期にわたって絶滅がつづき、生物の75%が姿を消したとされる。
 第5期は6500万年前(中生代白亜紀末、KT境界と呼ばれる)で、ジュラ紀から繁栄していた恐竜・アンモナイトが絶滅したほか海底生物やプランクトンの大多数が姿を消し、地上の植生も多くが損なわれ、生物の70%超がいなくなった。その原因としては、小惑星の衝突による大規模な環境変動説がある。
 その後、地球上の生物種は増加しつづけてきた。ひとつには、大陸移動によって大陸が分化し、多様化した環境に適応して生物が進化したためである。また小惑星の衝突もなく、巨大な火山活動がなりをひそめているのもその理由と考えられる。
 ところで現在、地球上では過去の5回の現象に匹敵する生物種の大絶滅がおこっている。その原因は人間活動である。E・O・ウィルソンは「世界の多様性を危機に陥れてきたのは人間の人口統計上の「成功」である」、「わが種は陸上植物が有機物質としてとらえる太陽エネルギーの20~40%を独占」しており「人間がこれだけ地球上の資源を吸い取っては人間以外の他の大部分が減らずにすむわけがあるまい」と指摘している。この第6の絶滅はまた、質的にもこれまでのものとおおきく異なっている。「進化のゆりかご」とも呼ばれる湿地や熱帯林の破壊が急速に進んでおり、生態系の不可逆的な大絶滅が危惧されている。
◆リベット仮説
 種の絶滅は急速にすすんでいるが、それの人間への影響は明確ではない。我々がその存在すらしらないような生物が絶滅したところで、とりたたて問題はないのではないか。こうした疑念にたいし、ひとつに将来的な有用可能性が指摘される。だがこれはあくまで仮定の話であり、じっさいにもミツバチやインドのハゲワシのように種の絶滅/急減が人間生活に直接明確な影響をおよぼしたケースはさほど多くない。それでも我々は絶滅種をすくう努力をするべきである。「リベット仮説」を提唱しつつ、そう主張するのはポール・エーリッヒである。「飛行機から一つのリベットが抜け落ちても、即座に飛行に影響が出ることはないように、ある種が絶滅し、あるいは個体数が急減しても、近縁の種が同様の機能を果たして生態系を支える。ところが、抜け落ちるリベットの数がだんだん多くなってくると、いずれ限界に達し、やがて飛行機は空中でバラバラになって墜落してしまう。次々と絶滅によって種を失っている現在の地球の生態系は、リベットを落としながら飛んでいる飛行機のようなものなのだ」(64)。
◆運転手と乗客仮説
 生態系のなかで主要な役割をはたす少数種にその他おおくの種が依存して生きているという考え方。生態系の維持にとくに重要な種は「キーストーン(要石)種」とよばれる。湖のなかでプランクトンをたべる大型魚がいなくなった結果、プランクトンが大発生したケースがある。またアメリカのイエローストーン国立公園では、オオカミがいなくなったためにシカが増え、植物にたいする食害がすすんだ。このようにキーストーン種はその生態系のなかで食物連鎖の頂点にたつ捕食者であることがおおい。裏からいえば、たとえばトラがいる環境がきちんと守られ個体数が安定していることはとりもなおさず、その生態系や生物多様性がきちんと守られていることをしめしている。
◆生きている地球指数(LPI)
 世界自然保護機構(WWF)が数年にいちど、地球の生物多様性状況を総合的に評価することを目的にもちいている指標。世界各地の陸域、淡水域、海洋に生息する1686種の野生生物について、約5000の地域個体群の個体数の減少率をもとに算定される。1970年を基準とすると、世界のLPIは2005年には30%ちかく減少している。熱帯地域にかぎってみると、50%も低下している。熱帯林の伐採が地域の生物多様性に大きな影響をおよぼしいることがよくわかる。
◆エコロジカル・フットプリント(EFP)
 EFPは、化学燃料や木材資源などさまざまな資源の消費量や人間活動による環境負荷を「グローバル・ヘクタール」という面積の換算した指標で「地球の利用率」をあらわしているとみることができる。木材や海産物の消費量はその生産に必要な森や海の面積に、二酸化炭素の排出量はその吸収に必要な森林面積に換算される。
 人類の足跡(フットプリント)は、年々大きくなっている。地球の生態系が持続的に生産できる農作物や森林が吸収できる二酸化炭素の量などから算出した「地球環境がもつ許容量」を1985年あたりを境にオーバーし、2005年に時点では1.3倍になっている。このまま増えつづければ、2030年頃には許容量の二倍に達する。WWFはこれを「生態系の負債(エコロジカル・デット)」とよんでいるが、このままでは文字どおり破産しかねない状況にあるのだ。
◆日本の生物多様性
 「生物多様性国家戦略2010」によれば、日本の生物多様性の危機には三つの側面がある。第一は、開発など、人為による負の要因。第二は、これとは逆に、自然にたいする人為的影響の不足による負の要因。「里山」や「里地」は生物多様性の宝庫として知られているが、過疎化や高齢化・農林水産業の衰退によって人間が利用しなくなった結果、生物の生息状況も悪化をみている。第三は、外来種や化学物質などの人工的な移入による生態系の「攪乱」。
 環境省が2010年にだした「生物多様性総合評価」によれば、陸水、沿岸・海洋、島嶼の生物多様性はおおきく損なわれており、この傾向は今後もつづくと予想される。森林と農地の生態系は、前者ほどではないが1950年代後半以降からの損失がおおきい。今後予測では、森林は横ばいだが農地では損失がつづくと予想されている。かくして「わが国の生物多様性の損失はすべての生態系に及んでおり、全体的に見れば損失は今も続いている」というのが、総合評価の結論である。


■■第3章 世界のホットスポットを歩く
◆ホットスポット
 生物多様性は地球上に一様に分布しているわけではない。多様性がとりわけ豊かな場所が存在し、人類が優先的にその多様性保全に努めるよう研究グループ(コンサベーション・インターナショナル)によって特定された場所を「ホットスポット」と呼ぶ。最初に25カ所のホットスポットが選定されたのは2000年である。①自生する植物種の0.5%以上が固有種であるか1500種以上の固有種が自生していること、かつ②従来の植生のすくなくとも70%がすでに失われていることがその条件であった。こうしてマダガスカル、ニューカレドニア、ブラジル中央部の大平原セラード、大西洋岸に発達するアトランティック・フォレスト、ニュージーランドなどが選定された。また固有の植物種の多さや植生面積の減少など8つの基準をもとにホットスポット中のホットスポットも8カ所選定されている。さらに2005年にはあらたに9カ所のホットスポットが追加され、日本もそこに数えられるようになっている。注目すべきは、ホットスポットと紛争地域の重なりあいである。現在ある34カ所のホットスポットのうち、大きな紛争を経験していない場所は11カ所にすぎない。
 世界のホットスポットをながめると、多くの原因が重畳化され生物多様性の損失がすすんでいることがわかる。開発・外来種・乱獲などは、先進国・途上国に共通である。途上国は開発中心の政策をおしすすめており、環境破壊と貧困の負の連鎖は断ちがたくなってきている。また経済のグローバリゼーションのなかで、先進国や新興国で天然資源の需要が急増し、途上国での生物多様性が減じ、地球規模での喪失がつづいている。このことは、短期的な利害から長期的な生態系サービスに目を向けることがいかに困難であるかをしめしている。こうした背景のもと生物多様性条約が1992年に採択され、締約国は2010年までに生物多様性の喪失速度に歯止めをかける「2010年目標」に合意している。


■■第4章 保護から再生へ
◆REDD
 REDDは「発展途上国での森林破壊と劣化の防止(Reduced emmisions from deforestation and degradation in developing countries)」の略。焼畑や森林伐採などにより森林が破壊されると大気中の二酸化炭素が増加する。つまり森林破壊の防止とはとりもなおさず、二酸化炭素の抑制にほかならない。そこでそのぶん〔排出しないですんだぶん〕を「排出枠」として国際的な排出取引市場で売買できるようにしようという仕組みがREDDである。
◆ノーネットロス
 開発に不可避とされてきた生態系や生物多様性の損失を実質的にゼロにしようとする考え方。たとえば宅地造成にはその場所の生態系の破壊がともなうが、開発によって失われるのと同等の生態系をその周辺に復元/再生する、といったやり方である。1950年代後半にアメリカの開発規制と生態系保護の法体系に盛りこまれたのを皮切りに、今日では世界銀行などの国際機関や援助機関の融資政策にもとりいれられ、多くの国や自治体で導入されている。なお日本はこの制度をもたない数少ない国となっている。


■■第5章 利益を分け合う――条約とビジネス
◆生物多様性条約への道のり
 生物多様性(biodiversity)という言葉をはじめて用い、その書名に冠したのはE・O・ウィルソンである。そのウィルソンをはじめとする生物学者・環境学者ら参加した「生物多様性にかんするナショナルフォーラム」(ワシントン、1986年)では、外来種の悪影響・生物多様性の経済的価値などが議論された。
 1987年には、国連環境計画(UNEP)が生物多様性保全のための国際条約の必要性が確認され、条約の内容の検討がはじまった。その叩き台となった国際自然保護連合(IUCN)の協定原案(1984年)の内容は以下のように画期的な内容をふくむものだった。国際条約で保護すべき種や生態系を特定するリストを作成し、その地域内での乱開発や乱獲を規制すること。熱帯材の輸入など、生物種の生息地域外で指定された生物多様性をおびやかすような行為も規制すること。遺伝資源からえられる利益配分については、資源が存在する国に生物多様性の主権をみとめ、利用者は利益のなかから資金を拠出して基金をつくり、その基金によって途上国での生物多様性保全をすすめること。公海上で生物多様性に悪影響を与える行為を慎むこと。政府開発援助(ODA)など国際援助にさいしては事前の環境影響評価を各国に義務づけること。
 かくして条約づくりは首尾よくすべりだしたのだが、交渉は難航をきわめた。各国間交渉では、自国の生物多様性の所有権を主張して、利益の公平な分配の国際的な仕組み、およびバイオテクノロジーなどの技術移転をもとめる途上国と、これに反対し生物多様性保全にたいする途上国の責任を強調する先進国が鋭く対立した。わけてもバイオテクノロジー大国アメリカは、知的所有権の保護をもとめて、ときに強制力のある条約の策定じたいを拒否し、交渉を難航させた。
 1992年4月の段階でも、各国間合意がみられない項目が350カ所もあったが、ナイロビでひらかれた5月の会議で、なんとか生物多様性条約の採択にまでこぎつけた。ところが生物多様性保全にとって重要なエリアをリスト化する「グローバルリスト条項」は、先進国からの保全圧力がたかまることを警戒した途上国の反対により早々に削除されることが決まり、環境保護団体などから批判された。またIUCNの草案にあった利益配分のためのしくみづくりも見送られた。それでも条約は、生物多様性の保全と持続的な利用が国際社会の重要課題であることを明確にし、「遺伝資源」にたいする各国の主権をみとめる一方でその保全および持続可能な利用のための政策を義務づけるなど、従来にない画期的な内容となった。
 条約では、生物多様性は種のレベルだけでなく、生態系のレベル、遺伝子のレベルの多様性をふくむものとされた。また「生物多様性の保全」「持続的な利用」「利益の公平な配分」が条約の三本柱とされた。また遺伝資源をもちだすさいには所有国の事前承認を必要とし、その遺伝子をつかう研究開発には所有国が参加するよう努力することを義務づけるなどの条件がつけられた。
 こうして条約は誕生したが、その発効は難航した。世界最大の遺伝資源利用国であるアメリカが条約の条文に不満をしめし、批准はおろか書名もしない。また国内の熱帯林の破壊がすすみ、対策の不十分さを他国から指摘されることをおそれていたマレーシアも書名の保留を表明。フランスもグローバルリスト条項が削除されたことに不満をしめし、最終交渉会議での書名を留保。争点となったのはバイオテクノロジーの扱いである。途上国には、条約によって自ら所有する遺伝資源がバイオテクノロジーと結びつくことによって多大な利益がえられるはずだとの共通認識があった他方で、バイオテクノロジーによってうみだされた動植物が自国内にもちこまれ生態系を破壊することへの危惧があった。このため条約には、「バイオテクノロジーによってうまれた生物の利用および放出にかかわる危険を規制/管理する」という条項がふくまれている。また「バイオテクノロジーのとりあつかい、および利益の配分」という特別の条文ももりこまれている。
 1993年12月、日本およびヨーロッパの主要国、途上国の批准で生物多様性条約は発効した。2010年4月現在、条約加盟国は193カ国にのぼり、未批准国はアンドラとバチカンのふたつの都市国家とアメリカだけとなっている。
◆生物多様性ビジネス
 2008年3月、IUCNと石油会社シェルは共同で「生物多様性ビジネスの構築」と題された報告書をだした。そこでは「生物多様性ビジネス」は、「生物多様性の保全や生物資源の持続的な利用、えられる利益の公平な配分をすすめることによって、民間企業が利益をうみだそうとする活動」と定義されている。
 報告書によれば、今後成長が期待されるのは有機農産物や生態系に配慮した木材や水産物の生産である。またこれに関連して、生物多様性や生態系に配慮した製品の「認証」ビジネスがある。たとえば持続可能な経営をおこなっている林業者であることなどを第三者機関が認証して商品にラベルをはる「森林管理協議会(FSC)」という仕組みや、資源管理に配慮した漁業やその製品を認証する「海洋管理協議会(MSC)」が欧米を中心に消費者や企業の関心を集めている。またREDDや、植林によって二酸化炭素の吸収量をふやして市場で販売する「温室効果ガス排出のオフセット」ビジネス、環境に配慮した観光業の「エコツーリズム」なども各国で急成長している。さらに、多様な生物資源のなかから医薬品や有用な化学物質を探索する「バイオプロスペクティング」も成長産業とみこまれている。


■■終章  自然との関係を取り戻す
◆われわれにできること
 生物多様性保全のために、日々の生活をつうじてわれわれひとりひとりにはなにができるだろうか。たくさんある。エネルギー消費の無駄をなくすために効率のよい製品をえらぶこと、再生可能エネルギーの利用をすすめること、自転車や公共交通機関を利用すること、環境負荷のすくない製品をえらぶこと、環境保護団体の活動を支援すること、植林などのカーボンオフセットのクレジットを買ってみること、年賀状もカーボンオフセット付きのものにしてみること、などなど。
 われわれの日常生活や目の前にある製品がどのようなかたちで生産され、場合によっては海外の生物多様性にどのように関連しているかを知る努力も重要である。たとえば携帯電話やパソコンには、タンタルという金属を利用したコンデンサーがひじょうにおおく使われている。だがこのタンタル鉱石の採掘がアフリカコンゴ川流域で盛んにおこなわれ、絶滅が心配されているゴリラの生息状況をいちじるしく悪化させている。一般に消費活動は環境問題の敵とされるが、われわれの豊かな生活がときに生態系の破壊とトレードオフの関係にあることに自覚的で配慮した企業から製品を選択的に購入することをつうじて生物多用性の保全に貢献することは可能である。





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