実践プログラム3

東南アジア沿岸域におけるエリアケイパビリティーの向上

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研究プロジェクトについて

地方再生・地域活性化と環境保全を両立させるカギは、地域の自然や文化の価値を広く認識することです。本プロジェクトでは、地域住民組織による地域資源の持続的利用を可能とする条件群をエリアケイパビリティーとして定義し、地域資源の活用を各地の住民組織と共に実践しました。

何がどこまでわかったか

図1 エリアケイパビリティーサイクルの概念図:地域活動を立案するときのフレームワークや地域活動を評価する際のモデルとして活用する。

図1 エリアケイパビリティーサイクルの概念図:地域活動を立案するときのフレームワークや地域活動を評価する際のモデルとして活用する。

写真1 2017年3月にタイで開催した国際セミナーの集合写真

写真1 2017年3月にタイで開催した国際セミナーの集合写真

自然豊かな地域に暮らしている人が、必ずしも自然に親しんでいるわけではなく、むしろ、当たり前にある自然の重要性は意識されていないことが多いことがわかってきました。そのため、各地で自然の豊かさやその価値は十分に活用されていません。地域活性化と環境保全を両立させるためには、住民組織による自然資源の利用と自然のケアのバランスをとることが重要です。これが私たちの求める未来のあるべき姿です。身の回りにある自然への興味や関心をはぐくみ、価値を再発見するためには、環境教育や体験学習なども効果的ではあります。そして、興味や関心を持ち続けるためには、生業や日々の生活に自然への関心を喚起する活動が組み込まれていることが重要です。特に貧困地域や途上国では、自然へのケア活動が生活の改善につながることが求められます。このようなバランスをとる活動を促進するため、私たちはエリアケイパビリティーサイクル(ACサイクル)という活動モデルを提示しました(図1)。地域の住民組織が行政や研究者と協働して、地域資源を活用し、身の回りの自然をケアし、地域の暮らしを豊かにするこの活動モデルは、地域のさまざまな可能性を明示してくれます。そして、このエリアケイパビリティーサイクルに即した活動を増やすことが、地域の可能性を高め、環境変化へのレジリアンス(回復力)を高め、将来への希望をつなぐことになると考えています。

ACサイクルを増やすためには、自然と生業を結びつける技術の開発や産業構造の改良が必要です。また、開発された技術や改良されたシステムを、住民組織が活用することにより新たな生態系サービスの利用が進み、住民の身の回りにある自然への興味や関心が涵養される連鎖が重要です。一方で、住民組織による生態系サービスの活用が行き過ぎた利用とならないよう、研究者と住民および行政の協働による科学的モニタリングと分析が必要です。また、このような環境に配慮した地域のあり方が外部から評価されることは、住民の自尊心の向上や活動への自信を高め、さらなる活動の展開と地域外を含めた生態系へのケアの拡大に重要であることがわかってきました。

本プロジェクトでは、この一連の活動と社会および意識の変容の連鎖には(1)地域にある独特な“地域資源”を地元のコミュニティで活用している点、(2)資源の利用によって、利用者が資源を支えている環境の重要性を理解し、ケアを行なっている点、(3)資源とそれを支える環境に関し、利用とケアのバランスがとられ、活動が外部からも評価されている点という3つの要素が重要であり、これらがACサイクルの構成要素になっています。

私たちの考える地球環境学

ACサイクルは、ひとつの地域資源にひとつ描くことになります。ACサイクルの数は、その地域における地域資源の豊富さとさまざまな協働可能性の高さとを同時に表す指標であると考えています。また、利用者は必ず資源とその資源を支える生態系をケア(気遣い、監視し、手当する)することを基準としていますので、保全もおのずと進むことになります。このACサイクルを増やすことを発展とし、ACサイクルを増やせるような知識や技術を蓄えること、それに貢献する研究活動や人材育成が、これから必要とされる地球環境学であると考えています。

新たなつながり

調査対象であった、タイ国ラヨーン、フィリピン国パナイ島、愛知県西尾市などでの自然資源を取りまとめたフィールドガイドを出版しました。また、エリアケイパビリティーの考え方や地域資源のとらえ方、環境の調べ方など、エリアケイパビリティーアプローチを取りまとめた書籍と、ACサイクルに沿った活動の実践例を集めた書籍も出版します。

プロジェクトリーダー

氏名 所属
石川 智士 総合地球環境学研究所教授
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