5月26日・27日に北海道大学で開かれた 日本アフリカ学会第55回学術大会 において、地球研サニテーションプロジェクトの林耕次研究員、中尾世治研究員、山内太郎教授がポスター賞を受賞しました。
受賞対象となったのは「狩猟採集民の排泄行動-カメルーン、バカ・ピグミーの個体追跡による時間・空間分析から」と題する発表で、狩猟採集民の森のキャンプ生活での観察を通じ、排泄行動をどこでどのように行っているか、頻度、排泄にかかる時間などを調査しました。これまで、狩猟採集民の生業・カロリー摂取・文化などについての研究は行われていましたが、排泄行動に焦点をあてたところに新規性があると評価され、受賞に至りました。
(今後の展望)
調査からは、定住集落では人口密度が低く、熱帯雨林という環境要因も含めて排泄場所の分散化の傾向がみられることから、「野外排泄による細菌感染リスクは低く、排泄場所を固定する必然性がない」という仮説が浮かびあがりました。今後は、衛生工学や熱帯医学などとの学際研究によって、遊動生活と感染症や寄生虫による感染リスクとの関係に注目しつつ、人類はいつから/どのようにしてトイレを持つようになったのかという人類史的な課題について研究を進めます。

受賞した中尾世治研究員(左)と林耕次研究員(右)