大学共同利用機関法人　人間文化研究機構　総合地球環境学研究所

• 農作物消費に伴うリン資源の国際フロー解析とバーチャルリン消費
• International Phosphorus Flow Analysis Related with Food Consumption in Japan and the Virtual Phosphorus Consumption
• 松八重 一代（東北大学 大学院工学研究科）
• Kazuyo Matsubae

　リンは地球上に遍く存在し、長い年月をかけて循環している物質ではあるが、希薄なため農地では特に不足しやすく、収穫量を支配することが多い。近代的集約農業においては、リン酸肥料を大量に施肥することで収穫量を飛躍的に向上させてきた。特に消費者の食料品への品質要求の高い我が国においては、耕地面積が限られた中での農業生産を維持するにはリン酸肥料の投入は不可欠な状況である。このような背景から、持続的なリン資源の安定供給のためには世界規模でのリン資源の消費構造を明らかにし、その消費に関する責任の所在、そしてリン資源の消費に影響を与える要素について考察を行うことが求められる。我が国が直面するリン資源の需給環境を概観し、リン資源フロー解析用産業連関モデルの提案を行い、貿易統計と接続することで我が国の食糧消費を支えるライフサイクル視点から見たリン資源の需要（バーチャルリン消費）について論ずる。