出張者:長田俊樹 出張先:インド・パキスタン
 
10月5日から19日まで、インド・パキスタンを訪問しました。
インドではカラクワルさんの大学に行き、学長さんに会ってきました。また、カーンメール遺跡で発掘された出土品を見せていただき、写真に納めてきました。
その後、ウダイプールからカーンメール遺跡まで行き、発掘現場を見てきました。今年は雨が多かったようで、かなりトレンチの穴には土が入っていました。
帰りはアーメダバードに行き、そこで我々の発掘隊の一員でもあるラワトさんと再会しました。
ちょうど文化省のクリアランスレターが届いたばかりで、これによって今後はカーンメール遺跡の出土品を出版することが可能になりました。また、これをベースにリサーチヴィザの申請も行う予定です。詳しくはまたお知らせします。
カラクワルさんたちはこのカーンメール考古学調査プロジェクト(Kanmer Archaeological Research Project=KARP)に全力投球で、KARPのロゴをつくって、帽子に縫いつけていました。Tシャツも作りたいとのことです。
一方、パキスタンではパンジャブ大学の学長さんとお会いし、チョーリスターンでの発掘共同調査のための調印式を行いました。ただし、パキスタンはいろいろと問題がありそうです。
まず、パンジャブ大学の考古学科はできたばかりで、発掘経験のある学生がいません。また学部長のFarzand Masihさんはヒンドゥー教寺院の研究で博士論文を書いた人で、インダス文明の専門家とはいえません。発掘の経験もあまり多くはないようで、かなり日本側の積極的な関与が必要です。
もちろん、チョーリスターンでの発掘はこれまでやられてこなかったし、旧サラスヴァティー川調査にも重要な場所ですので、これを見逃すことはできません。
そこで、プロジェクトメンバーのうち、考古学専門家を中心に07年度は、11月12月の二ヶ月、パキスタンで発掘し、インドでは1月2月発掘をすることで、なんとか乗り切りたいと思います。
インドはインド考古学者たちで十分発掘をやっていけそうなのですが、パキスタンはそうはいかないと思います。
なお、このチョーリスターンでの発掘にはアメリカ・ウィスコンシン大学のケノイヤーさんの協力を期待しているのですが、なんせアメリカとパキスタンの関係はよくないので、どこまで期待できるかはなかなか難しいところです。
また、Farzand Masihさん自身もいまの状況からするとアメリカ隊との発掘はやりたくないようで、ちょうど日本隊(長田プロ)が現れたので、アメリカ隊から日本隊に乗り換えたようなところがあります。
 
帰りにデリーで、出版についてManohar出版社と相談しました。
すでにIndus Civilization: Text and Contextを出版していただきましたが(いま船便で送っています。着き次第皆さんにお送りします)、今度Proceedings of Pre-Symposium and Harvard-Kyoto Roundtableに掲載されているインド関連の論文を中心に、出版することでまとまりました。
カーンメール遺跡発掘調査報告書はOccasional Paperとしてこれから出版していく予定ですが、Occasional Paperを編集し直して、これもManoharから出版していく予定です。
■ 出 張 報 告(2006年度)
出張日:2006年10月5日-18日