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No.7 フィリピン・マニラ湾 —活気あふれる街と豊富な食材

 


 

 

 

解説者:増田忠義
(総合地球環境学研究所 プロジェクト上級研究員)


専門は農業資源経済学。カリフォルニアの米作と水配分、宮崎県綾町の有機農業と合意形成、ハワイのコーヒー生産と土地利用、そして米中西部イリノイの大豆産業と国際市場をフィールドに食料生産と環境保全が調和する資源の有効利用のあり方を研究してきました。今はフィリピン・ラグナ湖流域をメインフィールドとする東南アジアの環境変化と食リスクの研究に取り組んでいます。

 

< フィリピン・マニラ >
地理 : 東にフィリピン海、西に南シナ海、南にセレベス海に囲まれた島国です。フィリピンは大小7109の島々から成り、インドネシアに次いで世界第2位の群島国家です。そのうち名前がある島は約4600で、人が住んでいる島は1000ほどです。広さは約28万平方キロメートル、日本の本州と北海道を合わせたくらいの大きさです
気候 : 熱帯モンスーン気候、年平均気温26~27℃、6~12月が雨季、12月~5 月が乾季
経済 : 伝統的に漁業(淡水魚、ティラピア、コイ、ナマズなど)と農業(米作中心、ココナツ、バナナ、パイナップル)。ラグナの特徴的な産業としてダックレースが盛ん。パイナップルの葉の繊維で織ったフィリピンを代表する礼服・バロン・タガログも主にこの地方で生産されている。マニラ方面に近づくにつれて都市化・工業化が進行していく
人種・民族 : マレー・フィリピーノ(生粋のタガログ族)
言語 : 国語はフィリピノ語(タガログ、ほぼ同義)、公用語はフィリピノ語および英語
宗教 : カトリック83%、そのほかのキリスト教10%、イスラム教5%、そのほか2%
食文化 : 米と魚介・チキンが基本。豚肉・他の家禽(ダック)も良く食べる。揚物、煮物、サラダなどの料理にも カラマンシー(calamansi、英名フィリピンレモン)をしばしばたっぷりと絞りかける。お酢の酸味が食欲を増進するシネガン・スープ(SinigangSoup)も美味しい。チキンやポークを醤油ベースで野菜と甘く煮込んだアドボ(Adovo)も日本の肉じゃが・筑前煮のような一般料理
建築 : オールドストーン・スパニッシュハウス(Old-stone Spanish house)。スペイン建築の影響を受けた、石(コンクリート)づくり、塀と鋳物作りの柵に囲われた家。パステル調の色でペイントされたり、スパニッシュがローカライズした装飾が見られる。庶民の家屋としては竹を骨組みとしニッパヤシの葉を屋根材・壁材とするニッパハット(nipa hut)がまだまだ見られる