地球研オープンハウス2012

地球犬と行く!世界一周の旅 ~エコネプロジェクト編 その2~

解説者:加藤裕美(総合地球環境学研究所外来研究員)
人と自然のかかわりに興味を持って研究を始めました。とくに、マレーシアの熱帯雨林の劣化と人々の生活環境の変化に関心を持っています。
フィールドでは、森の中に暮らす人々と一緒に長期滞在しながら、森林資源の利用や人々の生業活動の変化について調べています。
そして変わりゆく森林環境にどのように対応しているのかを明らかにしたいと思っています。
専門は文化人類学、環境人類学。

加藤写真

- まとめ -

マレーシア・サラワク州

地理:ボルネオ島北西部に位置

気候:熱帯

経済:(工業・農業・エネルギーなどについて):サラワク州は、石油、天然ガス(LNG)、森林資源に恵まれ、重要な輸出品である。LNG輸出量の半分は日本向けとなっている。農産物としてはオイルパーム等の一次産品の輸出が盛んで、オイルパームプランテーションが年々拡大している。

人種・民族:民族は多様である。イバン族といわれる民族が約30%、華人が30%、マレー人が20%を占める。そのほかに多数の少数民族が住む。

言語:マレーシアの国語はマレーシア語である。そのほかに、華人は中国語を、イバン族ほかの先住民族はそれぞれの言語を話す。

宗教:主に、マレー人はイスラム教、華人は仏教、イバン族ほかの少数民族はキリスト教を信仰していることが多い。

食文化:内陸部に住むイバン族は、焼き畑を作り、様々な品種の陸稲を栽培する。コメから作った酒はトゥアックと呼ばれ、1年で最大のお祭りのガワイに欠かせない飲み物である。そのほかに、バナナやドリアン、パイナップルなど果物を栽培したり、イノシシやシカを狩ったり、川や池で魚をとったり、野生の植物を採集したりする。

建築:ロングハウスと呼ばれる高床式の長屋が典型的な住居。数十から100以上の世帯が住む。かつては、水路が重要な移動手段だったため、川沿いにロングハウスを作ることが多かったが、最近では道路沿いに作ることが多くなってきた。

【伝統的知識】
焼き畑では、村人が協力して森林を伐採し火入れをする。焼き畑に使われるのは、大きな木が多く開墾が困難な原生林ではなく、すでに過去に焼き畑をして数年から数十年たった後の小さい木の多い二次林が多い。そのあと、棒で地面に穴をあけ、種をまいて稲を育てる。収穫期には、家族総出で熟した穂から一つ一つ手で集める。焼いたあと1年しか稲を栽培しないため、雑草や害虫は比較的少ない。焼き畑は、土壌に養分が少ない熱帯林で穀物を育てるのに適した農業システムである。

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