地球研オープンハウス2012

地球犬と行く!世界一周の旅 ~シベリアプロジェクト編~

解説者:藤原潤子(総合地球環境学研究所プロジェクト上級研究員)
専門は文化人類学、ロシア研究。主な業績は、『極寒のシベリアに生きる:トナカイと氷と先住民』(新泉社、2012年、共著)、『呪われたナターシャ:現代ロシアにおける呪術の民族誌』(人文書院、2010年)など。(研究者業績ページ

藤原写真

- まとめ -

ロシア連邦サハ共和国

東シベリアに位置する。面積は日本の8倍で、その40%が北極圏に含まれる。北部はツンドラ、その南には針葉樹林帯(タイガ)。共和国全域で、表土の下は永久凍土になっている。

地理:東シベリアに位置する。面積は日本の8倍で、その40%が北極圏に含まれる。北部はツンドラ、その南には針葉樹林帯(タイガ)。共和国全域で、表土の下は永久凍土になっている。

気候:人間の居住する場所としては世界一寒い。冬の気温は約マイナス40度で、記録上の最低気温はマイナス71.2度。

経済:(工業・農業・エネルギーなどについて)石油、天然ガス、石炭、金、銀、ダイヤモンドなどの地下資源が非常に多様でかつ豊富。

人種・民族:主な民族はサハ人、ロシア人。そのほかに100以上の民族が住む

言語:公用語はロシア語とサハ語。その他、それぞれの民族の言葉がある。

宗教:シャーマニズム、精霊信仰、ロシア正教など

食文化:先住民族はトナカイ牧畜、馬飼育、牛飼育、漁労、狩猟、採集を生業として行っており、肉と魚を多く摂取する。かつてはパンや野菜を食べる習慣はなかったが、17世紀ごろからロシア人がこれらを持ち込んだため、現在では食べられるようになっている。

建築:サハ人の家は、かつては丸太をタテに組んだもので、床板は張られていなかった。しかしロシア人が入ってきて以降、丸太をヨコに組んだ家が作られるようになった。また、床板を張った方が暖かいということで、ロシア式に床板が張られるようになった。ただし、現在でも牛小屋だけはタテ組の丸太で建てられる。牛小屋の表面に牛糞が塗られているため暖かく、冬でも牛たちは暖房なしで過ごすことができる。

【伝統的知識】
サハ共和国は全土が永久凍土地帯であるため、道路や鉄道を作ることが非常に困難である。そのため、凍った河川や湖を利用した冬道路が重要な交通路として使われている。マイナス40度にも達する冬には、川や湖の表面が固く凍るため、整地すればトラックでも走ることができる立派な道路になる。水に囲まれていて、夏には陸路で行けないような僻地の村でも、冬になれば冬道路を使って、便利に町と行き来できるようになるのである。このような村では、なるべく移動しなくても生きていけるように、魚や肉、ベリーなどたくさんの食べ物を、家族単位で生産して備蓄している。また町でしか買えない小麦粉や砂糖などは、冬の間に1年分まとめて村に運んでいる。

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