第39回 地球研市民セミナーが開催されました
日本の伝統文化“俳句” 。季語には日本人の自然観が凝縮されています。俳句と環境問題は意外な組み合わせのようですが、環境問題に文化的な問題があることを考えるとどこか接点があるかもしれません。話し手に京の俳人・坪内稔典氏(佛教大学文学部教授)を招き、地球環境問題を俳句の世界から考えようと試みました。“ねんてんさん”の愛称で親しまれる坪内氏。講演冒頭の話題は、他愛もない日常生活からみたエコロジー。朝、目覚めの枕もとにアリが集まることに疑問を抱いたねんてんさんは、自身とアリの関係を考え始めます。視野はさらに広がり、ある日、ナメクジへと発展。ナメクジとエコロジーを組み合わせて“ナメコロジー” 。ナメクジからみた環境問題を“ナメコロジー”と名付けて活動する研究家との出会いを披露しました。ユーモラスな話を淡々と語るねんてんさんは、場内約100人の聴衆を微笑ませ、沸かせます。冗談のような話の一方で、最近のブーム的な環境問題への取り組み方や“机上の空論的”学究界の姿勢を鋭く指摘。「ナメクジなどの忌み嫌われている生き物や、不可避な自然現象を受け入れることなくして、地球環境問題を語れるだろうか」と根本的な疑問を投げかけました。
カバの愛好家としても知られるねんてんさんは、夏にカバが赤い汗を分泌することから「“赤いカバ”は今や夏の季語。時代や文化の移り変わりは季語に反映される。季節や環境の変化に敏感であることは大事だ」と話し、「子どもそのものが自然である」、常識や偏見に凝り固まらない自由で無邪気な感性や行動が環境問題と身近に接する秘訣ではないかと示唆しました。(ニュースレター編集室)
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写真左から、対談の様子、会場の様子
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