第27回地球研市民セミナーが開催されました。


講師にグリーンピースジャパン事務局長の星川淳氏を迎えた第27回市民セミナーは、過去最高の160名の参加者数を記録しました。まず秋道智彌地球研副所長が、「21世紀における野生動物と人間との関わり」について、消費一辺倒から非消費的関係がクローズアップされてきたこと、いっぽうで消費のなかにあった憐憫の情や自然の恵みへの感謝という側面が薄れてきたことを、日本の捕鯨の歴史や現在の水族館でみられるシャチのショーなどを例にあげて、問題の“調査捕鯨”の歴史的な位置づけを行いました。

星川氏は、「袋小路の国営捕鯨−調査捕鯨という南極海の“不都合な真実”」と題して、商業捕鯨のもたらしたクジラの乱獲と、“調査捕鯨”と称して公海で絶滅危惧種を含めて年間1000頭規模の捕獲を行っている実態について報告しました。

後半の討論では、湯本貴和地球研教授の司会で、南氷洋にまで出漁する近代の商業捕鯨は伝統的捕鯨とはいえず「文化」の問題ではないことを確認し、非侵襲的(動物を傷つけない)手法が他の生物学分野では浸透しているにもかかわらず捕殺しなければ得られない科学的データとは何なのか、さらに、いったい誰のため、何のためにこれほどの国際的な批判を浴びながら“調査捕鯨”を続けなければならないのかを問い直す議論となりました。

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(写真左から) 立本所長による開会挨拶、秋道智彌・地球研副所長、星川 淳氏・グリーンピース・ジャパン事務局長


湯本貴和・地球研教授(司会、写真左)、議論の様子(写真中、写真右)