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第12回 地球研フォーラム
“共に創る”地球環境研究
が開催されました


第12回地球研フォーラムは,2013年6月29日(土)に京都国際会館で開催されました。今年度のテーマは「“共に創る”地球環境研究」。昨年の第11回地球研フォーラムのテーマである「“つながり”を創る」を受け継ぎながら、さらにそれを研究につなげていくにはどうすればよいかを探ろうとしたものです。

今回はこれまでのフォーラムとは少し様子が違いました。今回のフォーラムの特徴として、(1)発表者を、所内の(中堅の)研究者を主体とし、これまでのように所外の方に発表を依頼しなかったこと、(2)ツイッターを積極的に活用したこと、(3)高校生の参加を積極的に呼びかけたこと、(4)ユーストリームを利用して、インターネットで同時放映を行ったことがあります。どれもフォーラムの準備ワーキンググループで「“共に創る”」ことを有効に議論できる場にするためにはどうすればよいか、議論を重ねた結果行った試みです。会場には、いつもと違って、大きなスクリーンが2枚用意され、ツイッターのつぶやきや議題が映し出されていましたが、参加者には好意的に受け止められていたと思います。

当日のフォーラムは、辻はな子さん(地球研研究協力課係員)の司会のもと行われました。前半では、まず、半藤逸樹さん(地球研特任准教授)が趣旨説明で「地球環境研究を“共に創る”という人新世の人間文化」を強調しました。その後、檜山哲哉さん(地球研准教授)の「シベリアの自然と社会―文・理で共に創る面白さ・難しさ」、菊地直樹さん(地球研准教授)の「コウノトリと暮らす環境を共に創る」の二つの話題提供がありました。檜山さんは、地球研の「シベリア」プロジェクトで、温暖化によって影響を受けるシベリアの自然と社会の状況をどのように文・理の共同で解き明かしてきたかをのべ、菊地さんは、レジデント型研究者として活動した兵庫県豊岡におけるコウノトリの野生復帰運動での住民を巻き込んだ動きについて話しました。その後、白石草さん(OurPlanetTV代表、一橋大学客員准教授)が話題提供に対して、オルタナティブメディアの立場からコメントを行いました。

後半は、熊澤輝一さん(地球研助教)が座長となって、話題提供者とコメンテーターの3人がパネルディスカッションを行いました。ここでツイッターが活躍。会場からの質問やコメントは、基本的にはツイッターを通じて行うということになっており、スマートフォンなどを持っている人はスマートフォン等で、また持っていない人は会場で配られた紙に120字以内(ハッシュタグなどの文字数を考慮)でコメントや質問を書き込み、係りがそれをツイッターに打ち込みました。会場に来られなかった皆さんも、ユーストリームでオンライン参加し、ツイッターを活用してくれました。

ディスカッションでは、シベリアの温暖化のメカニズムはどのようなものなのか、生物多様性はなぜ大切なのか、コウノトリだけを保存することに意味があるのか、原発の再稼働は必要なのかどうか、などのパネリストやコメンテーターの発表内容に関する個別のコメントや質問が出されたほか、「望ましい未来とは私たちにとってどんなものなのか」という地球環境問題の解決に必要な地球環境観そのものに関わる質問など多彩な内容が寄せられました。また壇上のパネリストから、フロアの参加した洛北高校スーパー・サイエンス・ハイスクール授業受講生の高校生たちに対して、逆に質問が投げかけられ、高校生が答えるという場面も見られました。

個別の質問もなされましたが、ディスカッションを通じての中心的なテーマとなったのは、地球環境研究を「“共に創る”」にはどうしたらいいのかということ。研究者だけでなく、さまざまなステークホルダーを巻き込んで、地球環境学研究の新しいテーマを立てることの必要性が認識され、今後、地球研でもワークショップなどの形で研究のシーズを探すことが提案されました。

参加人数は約120人、ツイッターの利用者は約40、ユーストリームの放送の視聴者は200人を超えました。

今回、さまざまな新しい取り組みを行いましたが、今後の地球環境研究のあり方、またメディアを通じた社会との協働の仕方や、発信の仕方について多くのシーズとニーズを認識させてくれる場であったと思います。

(文責・研究高度化支援センター 寺田匡宏)

 

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 矢印 第12回 地球研フォーラム 開催案内

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写真をクリックすると拡大します。
1.司会の辻はな子さん
2.趣旨説明の半藤逸樹さん
3.檜山哲哉さんの話題提供
4.菊地直樹さんの話題提供
 
5.会場内でパソコンからツイートする参加者
6.白石草さんのコメント
 
 
7.質問する洛北高校生
8.パネルディスカッションを進行する熊澤輝一さん
 
9.高校生にマイクを向ける寺田匡宏
10.パネルディスカッションの様子
11.会場のスクリーンには常時ツイッターでの発言が映し出された