共同利用

地球研は、大学共同利用機関として学術の発展に寄与するために、共同利用の機能を充実させ、「同位体環境学共同研究事業」を展開しています。
地球研の研究活動に参画する国内外の研究者が実験施設・装置を利用し、効果的に先端的な共同研究ができる環境を提供しています。同位体環境学共同研究事業に採択された研究者は、共同利用設備の一部を使うことができます。

実験施設

地球研は、国内外のさまざまな地域で共同研究を行い、多様な研究試料を取り扱っています。試料のなかに眠るいろいろな種類の環境情報を取り出し、それぞれの関係性を総合的に理解することで、地球環境問題を引き起こしている人間と⾃然の相互作用環の姿を明らかにすることができます。地球研が実施している研究プロジェクトや同位体環境学共同研究に関係する国内外の研究者(2023年度は60機関、合計244名の研究者)が地球研の実験施設を利用し、地球環境問題の解決をめざした研究を行っています。

機器・装置類について

地球研には18の実験室があります。汚染のない環境で試料を処理するクリーンルームや、生物や氷床コアなどの試料を保管する低温保管室、人工的に管理された環境で生物を育てる恒温室もあり、さまざまな分野が共同して進める環境研究の展開を可能にしています。また、汎用性が高く新たな地球環境研究への発展が期待される、先端的な共通機器を重点的に整備しています。各種顕微鏡などの屋内実験機器や測量機器などの野外観測機器に加え、安定同位体測定のための軽元素安定同位体比測定用質量分析装置(IRMS)、表面電離型質量分析装置(TIMS)、高分解能マルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析装置(MC-ICP-MS)、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)、水同位体比分析装置、年代測定のためのガンマ線スペクトロメーターなどが設置されています。微量元素や安定同位体に関する情報分析技術や手法は、近年急速に発展してきており、高精度な情報獲得に向けて最先端の分析機器を整備しています。共通機器の利用については、実験施設ウェブサイトをご覧ください。

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同位体環境学とは

地球環境に関する研究においては、対象とする地域や時間のスケールはさまざまですが、水・大気・生物・土壌など生態系を構成する種々の要素、人間の活動とその歴史など、あらゆる人間と⾃然の相互作用環のなかに、元素の安定同位体比という「指紋」が内在しています。地球研では、多様な環境物質と多くの元素について、この指紋情報を得ることができる実験機器を整備してきました。これらの分析を通じて、地球環境問題の解決に資する研究を行うことは重要なミッションです。地球研では、これらの研究を「同位体環境学」と呼び、全国の研究者との共同研究を2012年度より進めています。

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