本書は、地球研の熱帯泥炭社会プロジェクト（2017-2021）の主要な研究成果として、特に泥炭地転換利用の中心地であるインドネシア・リアウ州のローカルガバナンスについて分析・説明したものです。泥炭地の保全と再生に関するローカルガバナンスを学際的な視点から詳細に記述し、既存文献中の重大な隙間を埋める試みです。日本とインドネシアの研究者のみならず、インドネシア現地NGOのメンバーからも寄稿を受け、従来型調査やアンケート分析に加え、オンラインインタビューや新しいソーシャルメディア、地理空間データを活用した革新的かつ複合的な調査方法を紹介しています。泥炭地の保全と再生をめぐる複雑さ、特に持続可能な泥炭地ガバナンスを支える包括的な地元の人びとの取組と技術の重要性について、読者に総合的な理解をもたらすでしょう。