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Living in the Megacity: Towards Sustainable Urban Environments

すでに世界人口の半数超が都市に住んでおり、2050年には、世界人口93憶人のうちの63憶人が都市に居住することが予測されています。人類の社会経済活動を都市への集中化・集約化することは効率的に見えますし、実際、一人当たりの環境負荷を計測すると、相対的に他の地域よりも環境効率的です。しかし、地球環境問題を含めたサステイナビリティの問題は、多くの人が住んでいる都市の社会経済活動に起因していると考えられ、トータルとしての負荷や問題の大きさを減少させることが重要です。あるいは、都市の環境効率性はまだ十分に高くないとも言えます。

本書では、これらの問題意識を共有し、人口1,000万人を超えるメガシティに注目しながら、多様な視点とアプローチから学際的な研究者たちが問題・課題の解決へ向けた次の一手を示しています。特に、都市において、人類がどのように持続可能かつ居住可能で、安全な社会・経済生活を実現するかのヒントをメガシティの発展の中に見ようとしています。

第一部では、メガシティと地球環境の持続可能性の関係について、重要な問題整理とそれらの問題を解決するための視座を議論しています。問題を解決するためには、問題自体を正しく理解することが必要です。第二部では、現代世代が取り組むべき課題をいかに解決するかを考えるために、都市発展の歴史や大都市の多様性を紐解くことによって、何が学べるのか示しています。歴史からの学び、多様性の尊重は、問題解決のカギになりえます。第三部では、人類のサステイナビリティを実現するために、どのように都市を変化させるかを具体的に把握するために、メガシティのサステイナビリティの測定・評価方法を議論しています。この背後には、測定・評価できないものはコントロールできないという考えがあります。

このように、本書は、(1) 過去・現代・未来の時間スケール、(2) ローカルとグローバルを繋ぐ空間スケール、(3) 人間の社会・経済活動の多様性スケール、という三つの尺度から、メガシティと地球環境の関係から生じる課題とそれに関連する諸々問題の解決に向けた方向性を照らし出しています。

刊行物情報 Shin Muramatsu, Terry G. McGee, Koichiro Mori 編
発行 Springer,2021年
225頁 145,59€(ハードカバー)117,69€(eBook)
ISBN (ハードカバー)978-4-431-56899-5
ISBN(eBook)978-4-431-56901-5
リンク 出版社ウェブサイト(英語)

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