• 地球研英文学術叢書

The Sanitation Triangle
Socio-Culture, Health and Materials

グローバル・サニテーションにおいて、持続可能な開発目標(SDG 6.2)ではすべての人がサニテーション・サービスを利用できるようにするという目標が掲げられていますが、未だ多くの低・中所得国では達成されていません。国連のMDGsからSDGsへの移行にともない、グローバル・サニテーションに関する社会文化的側面からの考察がより一層求められるようになりました。つまり、弱い立場にある人々に対する公平なサニテーションには、社会文化的な背景が関係している可能性があります。サニテーションとは単にトイレの設置ということだけではなく、人間の排泄物の処理や処分といった働きも含む総合的なシステムのことです。サニテーション・システムはそれ自体では機能せず、社会的な管理によってのみ有用性を持ちます。意思決定の過程も社会文化的条件に大きく左右されるため、サニテーションの重要性が社会的に認知される必要があります。また、サニテーションの重要な貢献の一つである衛生改善による健康効果についても、社会文化的環境の中で考慮される必要があります。さらに言えば、社会文化そのものがサニテーションの影響を受け、また創造される可能性さえあるのです。このような観点から、サニテーションの改善をさらに進めるためには、分野を超えたより総合的なアプローチが求められています。

本書(オープン・アクセス出版)では、サニテーションにおける「健康と幸福」、「物質(技術・経済)」、「社会・文化」の相互関係を総合的に考察する『サニテーション・トライアングル』という概念と、文化人類学、開発学、健康科学、工学、科学コミュニケーションなど多様な学問分野によるサニテーション・トライアングルに基づく事例研究を紹介します。異なる学問分野間の深い理論的検討と相互対話から、本書はグローバル・サニテーションに関する学際的研究の可能性を探ります。

刊行物情報 編者 Taro Yamauchi, Seiji Nakao, Hidenori Harada
発行 Springer,2022年
264頁 7,149円(ハードカバー) 5,719円(ソフトカバー)
ISBN (ハードカバー)978-981-16-7710-6
ISBN (ソフトカバー)9978-981-16-7713-7
ISBN (eBook)978-981-16-7711-3
DOI: https://doi.org/10.1007/978-981-16-7711-3
リンク 出版社ウェブサイト(英語)

地球研英文学術叢書一覧へ