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マルチグラフト:人類学的感性を移植する
他者のことを「わかる」とは、どのようなことか─。たとえ一緒に時間をすごした人であっても、理解しきれたと思えないことが、他者の豊かさであり、人間の豊かさなのです。気鋭のフィールドワーカーたちによって、差異を含めて受け止めようとする人類学的感性を共有することを目的として書かれた書籍です。
第Ⅲ部【伝える 教育・歴史・記録】において、地球研サニテーションプロジェクトの中尾世治特任助教が「文書のなかの固有名:インデックスとしての人格と地格」では、ブルキナファソとフランスでの史料調査の経験から、文書の読解や作成、整理・収集のなかで固有名(地名と人名)の果たす役割を考察し、「集合的人格における融即と責任:レヴィ=ブリュルとモース」では、日本では忘れられつつあるレヴィ=ブリュルの近年の再評価を踏まえつつ、特定の集団を代表する役職にある個人がその集団へと「融即」(participation)することを、集合的人格という概念から明らかにしています。また同じく、サニテーションプロジェクトの清水貴夫研究員が、「子にかける夢と迷い:「教育」を再考する」と題して執筆し、ブルキナファソの首都ワガドゥグのクルアーン学校でのフィールドワークの経験から、この地域の人びとが彼らの子ども、教育にかける思いを彼らの人生の文脈から捉え、近代的な「教育」のあり方を相対化させています。
刊行物情報 | 神本 秀爾・岡本 圭史 編 発行 集広舎 2020年2月 ISBN 978-4-904213-87-2 C0039 四六判 312頁 価格2,182円+税 |
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