私たちの最終的な研究プログラムには次の3つの柱があります。FS 段階では、これらの実現に向けた準備を行ないます。
- 1)食農システム現状分析
- 2)食のLCA(ライフサイクル・アセスメント)と食農システムチェーン分析
- 3)住民参加型の地域モデルの実践的構築
未来に向けた食農システムを設計するために、まず現行システムの問題点を明確にする必要があります。持続可能性という観点からみた、食農システムの各段階における問題点を、農業食料社会学、政治経済学、実験経済学、フードシステム論、消費者行動論などを駆使して明らかにします。海外における食農システム転換の動向についても情報収集します。
食と農に関連する物質とエネルギー循環の実相を研究します。食の生産、加工、流通、小売、調理段階においては多様な選択肢がありますが、それらの方法の違いが環境に及ぼす影響について、生物多様性などの指標も考慮しつつ、簡易でインパクトのある指標化を行ないます。また、大豆、コメ、小麦、トウモロコシ、軟弱野菜、根菜、牛肉、エビなどの主要品目について、生産から消費までのルートを明らかにし、消費の現場からみた調達チェーンの広がりを明示します。
上記の2つの柱からの成果をもとにして、住民参加型で持続的な食農システム構築のための食の指標を作成します。京都府、長野県、千葉県に国内モデル地域を設定して、ワークショップ形式で住民に働きかけながら、地域の実情と個性に見合った持続的食農指標を作成し、地域内のそれぞれの食品を評価するシステムを構築します。