「地球環境問題の根源は、人間文化の問題にある」という地球研が掲げる命題に表現されるように、人類は、「化学的不均衡」(人間と自然系の相互作用環の不具合)を人間中心主義のルール(環境訴訟や国際条約)におき換え、根本的な問題解決から遠ざかっています。近年、環境運動は人権・平和に関する諸運動と結びつき、ひとつになっていく機運があるものの、「加害者 vs 被害者」あるいは「一部の富裕層 vs その他」という構図はいまだに存在します。
地球環境問題のステークホルダーは地球に暮らすすべての人々です。誰もが環境問題解決の方法や地球環境のあるべき姿に意見を述べ、意思決定に参加すべきだと認識しています。研究者が調査地域やステークホルダーを選ぶのではなく、誰もがステークホルダーとして地球研の研究成果やさまざまな環境情報や価値観を認識することができるしくみが大切だと考えています。化学的不均衡に関する地球規模の環境情報を共有するだけでなく、価値の多様性を認め、個人個人の環境観が、人種・宗教や経済格差を超えてつながっていることを認識できるシステムの開発に着手しています。