2022.12.13

受賞

中塚武教授が第8回古代歴史文化賞を受賞

気候適応史プロジェクト(2014〜2018年度)のプロジェクトリーダーを務めた中塚武教授(名古屋大学大学院環境学研究科)の著書『気候適応の日本史 人新世をのりこえる視点』第8回古代歴史文化賞優秀作品賞を受賞しました。

古代歴史文化賞とは、古代歴史文化にゆかりの深い島根県、奈良県、三重県、和歌山県、宮崎県の5県により共同で実施する賞で、古代歴史文化に関する書籍を表彰することを通して、国民の歴史文化への関心を高めることを目的としています。

本作品は、古気候学の研究成果から、気候変動の時間的なスケールを数百年の「長周期」、数十年の「中周期」、一年から数年の「短周期」の3つに分けて歴史事象と気候適応の関係について考察しています。賞の選定に際し、「今日我々が直面している地球温暖化や、人類環境への関与などにも言及することで、今後の考古学・歴史学研究の方向に新しい息吹を吹き込む意欲的な作品」であることが評価されました。

『気候適応の日本史 人新世をのりこえる視点』
『気候適応の日本史 人新世をのりこえる視点』

中塚教授は今回の受賞について、「古代歴史文化賞は、島根県や奈良県などの古代史にゆかりの深い自治体が集まって、日本の人々の古代文化への理解を促進するために、“一般向けに書かれた優れた古代史の書籍”を表彰するために作った賞です。審査員は全て文系の学問を専門とする先生方であり、これまでは文系の文献史学・考古学・国文学の研究者の書かれた本だけが表彰の対象となってきました。今回初めて理系の古気候学を専門とする私が書いた本が表彰されましたので、それ自体がとても感慨深いのですが、本の内容は地球研の『気候適応史プロジェクト』の成果を全面的に著したものですので、地球研の成果発信という意味でも、とても大きな意味があったと思っています。こうした本を通じて、地球研の文理融合の研究スタイルが、広く世の中一般の人々にも理解されるようになることを願っています」とコメントを寄せました。

中塚武教授(右から1人目)

※高分解能古気候学と歴史・考古学の連携による気候変動に強い社会システムの探索(2014〜2018年度)(略称:気候適応史プロジェクト)
プロジェクト詳細:https://www.chikyu.ac.jp/rihn/activities/cr/05/

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