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参加型研究におけるナラティブ表現の可能性

日時 2024年11月22日(金)14:00 - 17:40
会場 京橋エドグラン29F Incubation CANVAS
(artience株式会社オフィス内)
〒104-0031 東京都中央区京橋2丁目2−1
概要
総合地球環境学研究所(地球研)では、地球環境問題を人間の文化の問題と認識し、さまざまな学問分野の基礎をもとに、⼈⽂学・社会科学・⾃然科学の⽂理融合による学際研究に加え、社会と連携・協働した超学際(TD)研究に取り組んでいます。近年、学際研究・TD研究において、ナラティブ(物語、芸術、儀礼、音楽など)な表現が重要とされています。今回、ナラティブな表現の中でも特に映像を中心としたイメージに着目し、それらを活かした方法論についての事例紹介をきっかけにして、発表者と来場者が共にこれからのナラティブ表現の可能性について考える学際的なコミュニケーションの場作りを行います。
イベント詳細 イベントの前半では、大きく2つのプロジェクトに関連する事例紹介を行います。ひとつは「ヤングムスリムの窓:芸術と学問のクロスワーク」(http://project-yme.net/)、もうひとつは「サニテーション価値連鎖の提案ー地域のヒトによりそうサニテーションのデザインー」(https://www.chikyu.ac.jp/sanitation_value_chain/)です。両者の研究成果の中でも特に方法論にフォーカスした論考が、2024年3月に発行された国立民族学博物館(民博)の国際オンラインジャーナル「TRAJECTORIA Vol.5」に掲載されました。今回の企画は、この民博の「TRAJECTORIA」(https://trajectoria.minpaku.ac.jp/)をきっかけにして発案されました。
イベント後半の哲学対話では、事例紹介を経て、発表者と参加者が輪になって問いを出し合い、一緒に考えを深めていくという対話を行います。この対話により、発表者のプレゼンテーションを参加者が見て、参加者自身が率直に感じたこと、またその参加者にとって発表者の研究内容はどのような意味があるのか、などの議論を促します。こうした対話を通じて、事例紹介するナラティブな表現を活かした学際研究の方法論的な可能性について、さまざまなコンテクストが交差する多様な視点から考えていきます。
プログラム 14:00-14:10 開会の挨拶(山内太郎)
14:10-14:20 趣旨説明(澤崎賢一)
14:20-15:20 プロジェクト「ヤングムスリムの窓:芸術と学問のクロスワーク」
澤崎賢一(地球研)、阿毛香絵(京都大学)、野中葉(慶應義塾大学)、長谷川護(慶應義塾大学 修士課程)
「ヤング・ムスリム研究における映像メディアの新たな活用方法」
「ヤングムスリムの窓」は、ダイバーシティや多文化共生を背景に、日本に暮らすヤングムスリムたちの視点=窓を通じて日本社会はどのように映るのかを明らかにすることを目的に、ヤングムスリムたちとの協働による映像制作を通した研究、芸術実践を試みている。今回の発表では、このプロジェクトにおいて生み出された当事者参加型の手法〈コモンズ映画〉について各メンバーの視点から考察する。〈コモンズ映画〉とは、調査対象者を含め、プロジェクトの参加者がカメラで互いを撮影し合い、クラウド上に共有された映像素材から各自の価値観や想いに基づき映像制作に取り組むことである。この方法により、映像メディアを表現手段としてのみならず一種のハブとして活用し、立場や専門、世代や文化的背景の異なるアクターが相互に関わり合う研究/共創の場が生み出された。

15:20-16:20 プロジェクト「サニテーション価値連鎖の提案ー地域のヒトによりそうサニテーションのデザインー」
山内太郎・片岡良美・ニャンべシコポ(北海道大学)
「“I See You” ―ザンビア都市周縁部における「子どもクラブ」の参加型アクション・リサーチ」
ザンビアの都市周縁部で、水・サニテーション・衛生(WASH)の問題に取り組む子ども・若者クラブ(Dziko Langa)における参加型アクション・リサーチの取り組みを紹介する。クラブに参加した子どもたちは、フォトボイス、アート等の視覚化の手法を用いてコミュニティのWASHの状況を評価した。さらに研究者と協働して展示発表会を開催し、ドラマ、ダンス、詩の朗読、歌などでWASHの問題をさらに視覚化した。コミュニティの社会課題に対して当事者意識を持つことを企図した参加型アクション・リサーチと子どもから大人、そして社会を変えるボトムアップ型の手法の有効性について考える。

片岡良美・ニャンべシコポ・山内太郎(北海道大学)
「「私」の問題から「私たち」の問題解決へ―デジタル・ストーリーテリングで将来像を語る」
デジタル・ストーリーテリング(DST)は、「デジタル紙芝居」のようにフォトムービーを制作・発表する手法である。個人の視点から見えることを「語り」として表現することが重要視され、参加型の研究では、ワークショップ形式で取り組まれてきた。本報告では、子ども・若者クラブ「Dziko Langa(ジコ・ランガ)」で行ったDSTのワークショップを紹介する。ワークショップは、これまでのクラブの取り組みの内省をテーマとして行われた。DSTのプロセスにおける未来、将来像に関する語りに注目し、DSTという手法により、現実がどう認識され、どのようなコミュニケーションによって、将来へ向けたストーリーが生み出されるのかを検討する。

(休憩 10分)

16:30-17:30
梶谷真司(東京大学)を中心とした参加者を混じえた哲学対話
参考:https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/diversityresearch05.html

17:30-17:40 閉会の挨拶(梶谷真司)
※最大19時まで延長可能性あり
参加方法 事前申し込み制
こちらのURL へアクセスいただき、必要事項をご記入の上、お申込みください。
※後日、記入いただいたメールアドレス宛に「京橋エドグラン 来訪者エントリーシステム」より入館証(QRカード)が送付されますので、当日、ご持参下さい。
※Incubation CANVAS Programの会場までの入り方
https://incubation-canvas.tokyo/access/
企画 澤崎賢一(総合地球環境学研究所)、山内太郎・片岡良美(北海道大学)、梶谷真司(東京大学)
主催 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所
人間文化研究機構 共創先導プロジェクト・共創促進事業
「開かれた人間文化研究を目指した社会共創コミュニケーションの構築」
共催 北海道大学 環境健康科学研究教育センター
東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属 共生のための国際哲学研究センター(UTCP)
関連リンク https://trajectoria.minpaku.ac.jp/
お問い合わせ 総合地球環境学研究所 基盤研究部:澤崎賢一
E-mail: k.sawazaki[at]chikyu.ac.jp *[at]を@に変えてお送りください。

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