PATRA, Prabir K.
総合地球環境学研究所 教授/海洋研究開発機構地球表層システム研究センター 上席研究員
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担当
大気浄化、公衆衛生および持続可能な農業を目指す学際研究:北インドの藁焼きの事例
役職・肩書
総合地球環境学研究所 教授/海洋研究開発機構地球表層システム研究センター 上席研究員
専門分野
温室効果ガス・オゾン層破壊物質の研究、大気汚染、バイオマス燃焼、大気モデリングと測定
経歴
インド・グジャラート大学でPh.Dを取得。IBMインド研究所勤務を経て、海洋研究開発機構上席研究員。千葉大学、東北大学客員教授。2023年からAakashプロジェクトリーダー。主な研究テーマは、大気化学‐輸送モデルを用いた温室効果ガスやオゾン層破壊物質の発生源と吸収源の推定。また、大気汚染と人間の健康にも深い関心を寄せている。気象学会堀内賞受賞(2016)。グローバル・カーボン・プロジェクトのCO2、CH4、N2Oの収支推定に貢献、IPCC AR6のリードオーサーを務めるほか、数多の学術誌のエディター、衛星観測プロジェクトの運営委員を務めるなど国際的に活躍する。
Q&A
- Q1地球研ではどんな研究をしていますか?
- 現在、世界の人口は約80億人ですが、人工的につくられた窒素肥料なしではその半分しか養えません。
私たちが取り組んでいる「わら焼き」の問題も、肥料の出現によって大量に多様な作物をつくれるようになったために起きています。効率よく農業を行うために、稲の収穫後、同じ土地ですぐに別の作物を育てられるようにするために残ったわらを焼却することが、大気汚染などの問題につながるのです。
大気汚染は人類にとって非常に危険かつ緊急の問題であり、日常生活に支障をきたしたり、健康に影響を及ぼしたり、時には回復不能になることもあります。
私たちは地球研で、デリー首都圏における深刻な大気汚染の原因について、パンジャーブ地域における作物残渣の焼却と関連させながら、厳密に科学的な理解を深めることに取り組んでいます。とくに、地域ごとの排出量と気候条件を考慮することによって、最も効果的な汚染緩和政策を立案することに貢献します。私たちは、農家に作物残渣管理のいくつかの選択肢と、持続可能な農業に向けた作物多様化の選択肢を提供し、市民の意識を高め、大気汚染削減のための行動変容に適応してもらうことを目指しています。 - Q2地球研で研究したい人に向けてのメッセージは?
- 地球研に着任して約1年になりますが、ここは学際的研究を推進するためのエキサイティングなシステムだと感じています。地球研には、短期・長期を問わず、新しい人材を歓迎する豊かで多様な文化があります。地球規模の問題を解決するというプロジェクトの性質上、多くのプロジェクトが大規模な出張を伴い、複数の大陸をまたぐことが多い。地球環境問題を解決するための研究の可能性は計り知れず、挑戦のしがいがあります。