2024年度終了プロジェクト

フューチャー・デザインプロジェクト

プロジェクト概要

ある地域や組織の中の関係者たちが未来人の視点を取り入れて、自分たちなりの持続可能な社会の将来ビジョンを作る方法を開発しました。そして、そのような方法が社会の中に広がっていくことが、なぜ、持続可能な社会の実現に貢献できるのかを明らかにしました。

研究成果の概要

(1)ある地域や組織の中の関係者たちが未来人の視点を取り入れて、自分たちなりの持続可能な社会の将来ビジョンを作る方法を開発しました。具体的には、①未来人の視点を取り入れるための導入として用いるための紙芝居動画の作成(日本語版4作、英語版4作、合計8作)、②未来人の視点を取り入れるための導入としてのパストデザインの方法の精緻化、③未来人同士のグループワークにおける討議課題の設定方法のバリエーションの整理、④グループワークの討議結果からビジョンに関するナラティブを抽出する手法の開発などです。このうち、④が最も重要な成果であると考えています。

(2)(1)で述べた方法が社会の中に広がっていくことが、なぜ、持続可能な社会の実現に貢献できるのかを明らかにしました。具体的には、さまざま事例に(1)の手法を適用した結果から、この手法の持つ効果には次のようなものが含まれることが明らかになりました。(より詳しくは図1参照。)①将来人の利益を守りたいという気持ちを、誰かから押し付けられることなく獲得できる。②今後起こるであろう不都合な事柄から目を背けなくなる。③昨日、今日のように明日を迎えようとする現状維持バイアスを打破できる。④未来人を経験した人同士がネットワークを形成できる。⑤利害関係によって硬直化したアクター間の関係を軟化できる。こうした特徴を持つフューチャーデザインは、バックキャスティングや参加型テクノロジーアセスメントなどの手法と組み合わせて使うこともでき、汎用性が高いです。

図1:フューチャーデザインの効果

私たちの考える地球環境学

過去の歴史を振り返れば、社会の変革が実現するには、いつも50年や100年くらいの時間がかかるのが普通です。研究者や行政や民間企業や住民が協力して、①変革の最終ゴールにおける社会の姿とはどのようなものであるべきなのか、②その長い変革の時間の中のどのくらいに今位置しているのか、③どうやって最終ゴールにたどり着きたいのか、という三点を常に議論し続けることのできる仕組みを作り上げるにはどうしたらいいかを明らかにするのが、地球環境学だと思います。フューチャーデザインもそれを目指しています。

新たなつながり

フューチャーデザインプロジェクトは本年度で終了しますが、Sustai-N-ableプロジェクト、Fashloksプロジェクト、SceNEプロジェクト等との連携は今後も継続します。

プロジェクトリーダー

中川 善典

外部評価委員による評価(英語)

研究スケジュール

2021年度
(令和3)
2022年度
(令和4)
2023年度
(令和5)
2024年度
(令和6)
FS FR1 FR2 FR3

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