出張者:長田俊樹、J. S. カラクワル
出張先:コルカタ、アーメダバード、ムンバイ、デリー
 
6月13日から26日まで、インダス文明遺跡発掘許可の最終打ち合わせのため、インドを回って参りました。そのご報告をいたします。
6月13日に関空を出発し、コルカタへ。コルカタではCentre for Archaeological Studies and Training, Eastern Indiaに行き、コルカタでの考古学研究の様子などをうかがってきました。また、出版物を購入しました。
6月15日にはAhmedabadに行き、今回の発掘相手の一つグジャラート州考古局のRawatさんに会い、グジャラート州での発掘許可が遅れていることを知りました。発掘許可までのプロセスは、グジャラート州の政務次官の許可の後、インド考古局(Archaeological Survey of India)へ送られ、文化庁、内務省、外務省の許可を経て、最終決定、となるのですが、これらのプロセスのうち、まだグジャラート州から先には進んでいません。
翌16日はLothal遺跡を見学。Lothal遺跡には博物館が併設されています。遺跡を見学して思ったのは、まず解釈ありきで、遺跡を縦横に発掘しきったという印象は全くなく、土器の破片があちこちに散乱しているという状態でした。
17日にはMumbaiに移り、18日と20日に、Prince of Wales Museumでインダス印章を撮影してきました。この準備にはPuneにあるデカン・コレッジのVasant Shindeさんが協力してくださいました。モヘンジョダロの初期発掘者であるBanerjeeがこの博物館にもたらしたものだそうです。インダス関連のものは14点で、円筒印章でインダス文字が記されたという珍しいものもありました。
20日にはPuneにうつり、デカン・コレッジが発掘したGilund遺跡の印章関連を全部デジタル写真に納めてきました。今後、土器のグラフィティをもう一度確認していただくために、これまで保管してあった土器の再点検をShndeさんが中心にやってくださるそうです。
23日にはデリーへ行き、2日間の間に、インド考古局の局長はじめ、多くの方々にお会いして参りました。
インダス文字に関連して言えば、B.M.Pandeさんにお会いして確かめたところ、Nagpur博物館など、インド各地にある未発表の印章などはすべて写真を撮って、フィンランドのパルポラさんに送ってあるそうです。ParpolaさんとPandeさんの共編著によるCorpus of Indus Seals and Inscriptions の第三巻の発刊が望まれます。帰国後、その出版に関して、Parpolaさんに問い合わせをしましたが、今の時点では返事はいただいておりません。いただいた時点で、またお知らせします。
今回インドに行って思ったのは、インドにはまだまだ未発表資料が眠っていること、発掘といっても、解釈第一、資料整理は後回しという現実を目の当たりにしました。
ところで、今回のインド行で、我々の予算はますます逼迫しております。たぶん、今年の発掘に、こちらから予算を支払えるのはインド側の必要経費のみという事態も考えられます。インドでの発掘は12月中旬から2月中旬が予定されておりますが、こちらの発掘に自前でもいいから参加したいという奇特な方がいらっしゃれば、ぜひご一報ください。往復の航空券ぐらいはなんとか用意したいとは思っております。
なお、今年の発掘に関係する方はリサーチヴィザの取得が必要ですので、だれがどのような形で参加するのかを、なるべく早めに確定したいと思います。参加希望の自主的申し出をお待ちしております。
本来であれば、インドでとってきたスライドなどを皆様にお見せしながら、報告会などを開催できればいいのですが、いまはその予算もありません。予算増加要求は10月に行われるようなので、その時点まで辛抱です。今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。
■ 出 張 報 告(2005年度)
出張日:2005年6月13-26日