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地域環境知プロジェクトキックオフシンポジウム
地域環境学ネットワーク・シンポジウム

【開催趣旨】
地域環境問題に関する科学的に妥当な解決策が提案されても、地域社会のステークホルダーによって受け入れられず活用されない、という問題がしばしば起こっています。これは、ステークホルダーの理解不足という問題ではなく、もしかすると科学的な知識生産が地域に固有の問題構造や在来の価値観、意思決定システムなどとかけ離れた状態で行われているために起こっているのかもしれません。このような問題意識から、私たちはJST社会技術研究開発センター「科学技術と人間」研究開発領域の支援を受けて、2008年から「地域主導型科学者コミュニティの創生」プロジェクトを推進し、地域社会に定住して地域環境問題解決に役立つ知識を生産するレジデント型研究者などが集まる「地域環境学ネットワーク」を設立して、地域のステークホルダーによって活用される科学のあり方を探求してきました。この研究プロジェクトで得られた成果を活かし、2012年4月からは総合地球環境学研究所において、環境問題の解決のための領域融合的知識の構築メカニズムを探る基幹研究プロジェクト「地域環境知形成による新たなコモンズの創生と持続可能な管理(地域環境知プロジェクト)」を開始しました。この新しい研究プロジェクトでは、地域の人々による取り組みの基礎となる新しい知識の構造として、科学知と人々の生活の中で培われてきた在来知が融合した「地域環境知」に着目します。世界各地の多様な事例を収集分析し、地域環境知形成のメカニズムとそれを活かした地域社会の順応的ガバナンスの仕組みを明らかにして、持続可能な社会の構築のためのボトムアップの取り組みを支える科学のあり方、科学を使いこなす社会のあり方の解明を目指します。
この地域環境学ネットワーク・地域環境知プロジェクトの合同シンポジウムでは、まず1日目に地域環境学ネットワークのこれまでの歩みを振り返り、そこで得られた成果を議論します。2日目には地域環境知プロジェクトにおける地域環境知形成を核とした持続可能社会の構築のための新しい科学への挑戦をご紹介します。また、2日目昼からは、各地の地域環境知の生産と活用の事例を紹介するポスターセッションを開催します。私たちが一貫して探求してきた、地球環境問題解決のためのボトムアップの取り組みを支える領域融合的な科学の一端をみなさんにご紹介し、議論を通じてみなさんの英知をお借りして、新しい科学の地平を開く知の航海に船出していきたいと思います。
※チラシはこちら(PDF)です。
【プログラム】
■2012年9月16日(日)13:00~18:00
(10:00~12:00 地域環境学ネットワーク総会)
JST-RISTEX 「地域主導型科学者コミュニティの創生」プロジェクト 最終シンポジウム 「地域のための科学を求めて・・・地域環境学ネットワークの歩みとこれから」
会場:京都平安ホテル「朱雀」(→ アクセス
13:00~13:10 開会あいさつ
佐藤哲 (研究代表者・総合地球環境学研究所)
13:10~13:50 基調講演 Michael Crosby (Mote Marine Laboratory)
「知識のトランスレーター・レジデント型研究者」
13:50~14:20 清水万由子(総合地球環境学研究所)
「地域環境学ネットワークの歩み・・・3年間を振り返って」
14:20~14:30 休憩
14:30~15:00 富田(星)昇 (EIMY湯本地域協議会・日本EIMY研究所)
「地域に学び地域を思う・・・一人のレジデント型研究者として」
15:00~15:30 木村幹子(対馬市島おこし協働隊)
「地域の中の研究者・・・レジデント型研究の多面的役割」
15:30~16:00 西野ひかる(アマモサポーターズ代表・京都大学大学院)
「地域から生まれるトランスレーター」
16:00~16:15 休憩
16:15~17:50 パネルディスカッション
「地域のための科学を支える次世代の声・・・レジデント型研究インターンシップからの報告」
16:15~16:45 レジデント型研究インターンシップ報告
座間いづみ(首都大学東京大学院都市環境科学研究科)
細貝瑞季(京都大学大学院地球環境学舎)
五十嵐翼(同志社大学大学院総合政策科学研究科)
16:45~17:05 コメント
新妻弘明(東北大学名誉教授・日本EIMY研究所所長・教授)
鹿熊信一郎(沖縄県水産業改良普及センター)
17:05~17:50 ディスカッション
コーディネーター:上村真仁(WWFサンゴ礁保護研究センター)
17:50~18:00 閉会あいさつ
小林傳司(独立行政法人科学技術振興機構社会技術研究開発センター「科学技術と人間」研究開発領域総括補佐/大阪大学教授)
■2012年9月17日(月・祝)10:00~18:00
総合地球環境学研究所・基幹研究プロジェクト 「地域環境知形成による新たなコモンズの創生と持続可能な管理」キックオフシンポジウム
会場:京都平安ホテル(「東山」)(→ アクセス
10:00~10:10 開会あいさつ
佐藤哲(プロジェクトリーダー代行者・総合地球環境学研究所)
10:10~10:50 基調講演1(Webまたはビデオ講演) Ilan Chabay (Institutefor Advanced Sustainability Studies, Potsdam)
「持続可能な未来への道筋・・・知識生産、学習、集団的アクション」
10:50~11:30 基調講演2 佐藤哲(総合地球環境学研究所)
「判断を支える地域環境知・・・順応的ガバナンスのための設計科学」
11:30~12:00 Salvatore Aricò(UNESCO Biodiversity Initiative)
「地域と世界をつなぐ・・・階層間トランスレーターとしてのユネスコ」
12:00~14:00 昼食
地域環境知プロジェクト・地域環境学ネットワーク合同ポスターセッション
「地域課題解決のための事例研究」
※プロジェクトメンバー、メンバー外の方の発表を歓迎します。
14:00~14:30 松田裕之(横浜国立大学)・牧野光琢(中央水産研究所)
「地域の智慧を世界に発信する・・・知床漁業者の視点から」
14:30~15:00 Konstantinos Alexandridis (University of the VirginIslands)
「複雑性の海を航海する・・・カリブ海沿岸域における集団的知識、生業の復元力、そして社会生態システムの物語」
15:30~16:00 Heinz Gutscher (University of Zurich)
「相互の信頼の醸成のために」
16:00~16:30 Erhan Akça (Adiyaman University)
「ステークホルダーとの協働・・・トルコ共和国半乾燥地における土地利用管理のための協働的知識生産」
16:30~16:50 休憩
16:50~17:50 パネルディスカッション
コーディネーター:Michael Crosby 「マルチレベルのガバナンスを支える地域環境知の理解に向けて」
佐藤哲・Salvatore Aricò・Heinz Gutscher・時田恵一郎・福永真弓
17:50~18:00 閉会あいさつ
佐藤哲
【問合せ】
地域環境知プロジェクト事務局

総合地球環境学研究所
〒603-8047
京都市北区上賀茂本山457番地4
TEL:075-707-2400
FAX:075-707-2509