知の接合:社会-環境相互作用の共同研究における問題認識のずれを乗り越える方法論

研究の概要

図1:問題当事者と協力者の問題認識のずれを乗り越える方法

図1:問題当事者と協力者の問題認識のずれを乗り越える方法

地球環境問題は、人間社会と自然環境の相互作用が機能不全に陥ることによって生じます。その原因を解明するためには、人間社会のあり方に関する知識(人文知)と、自然環境のあり方に関する知識(環境知)を総合する必要があります。そして、相互作用機能の改善を図るためには、研究者と、政府、自治体、企業、NPO、地域住民といった社会の様々な立場の人びとが、人文知・環境知の他に、問題に対処する技術に関する知識(技術知)や社会問題を解決する方法に関する知識(行政知)を持ち寄り、協働して問題解決にあたる必要があります。しかし、実際に共同研究を進めるにあたっては、研究者どうし、あるいは研究者と社会の人びとの間で、問題に対する認識がずれていて、問題解決の妨げとなることがあります。

そこで本コアプロジェクトは、地球研の複数の実践プロジェクトと協働して、問題認識のずれを乗り越えるための方法論(図1)の構築に取り組みます。特に工夫するのは、問題の当事者と外部協力者の間に「知のつなぎ役」を置く点です。「知のつなぎ役」は、スピーチをその場でイラスト化するグラフィックレコーディングや、知識体系を構造的に整理するオントロジー、コンピュータで地図を描く地理情報システム(GIS)などを駆使して、関係者のもつ情報を公正な形で可視化(見える化)します。そして、関係者が対等な立場で対話するための場(ワークショップ)をしつらえ、対話を通してそれぞれの価値観を共有することによって、立場や利害を超えて取り組める共通の上位目標の設定を支援します。これにより、関係者が知識や技術を持ち寄って共同研究を進めることで、問題の「こたえ」を導き出すことができるようにします。

FS期間中には、 琵琶湖流域圏における水草資源活用コミュニティーの形成(三井物産環境基金研究助成)など関連研究事例の分析を通じて、この研究モデルを改良していきます。地球研から始まる新しい研究の進め方に、どうぞご期待ください。

FS責任者

氏名所属
近藤 康久総合地球環境学研究所研究基盤国際センター准教授
  1. HOME
  2. 研究プロジェクト
  3. 研究プロジェクト一覧
  4. 予備研究・インキュベーション研究
  5. 知の接合:社会-環境相互作用の共同研究における
    問題認識のずれを乗り越える方法論
↑ページトップへ
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
総合地球環境学研究所

〒603-8047 京都市北区上賀茂本山457番地4

Tel.075-707-2100 (代表)  Fax.075-707-2106 (代表)

みんながわかるちきゅうけん