日本列島プロジェクトのみなさま
(Bcc.ですべてのメンバーにお送りしております)
京都ではウメの盛りが過ぎました。年度末の慌ただしい時期ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
ー地球研第5回地域セミナーの報告
2月13・14日に沖縄島で開催された地球研地域セミナー「やんばるに生きる−自然・文化・景観のゆたかさを育む地域と観光−」は,琉球大学観光産業学部の花井正光先生や奄美沖縄班の安渓さん,当山さんをはじめ,皆様のおかげで非常に有意義なセミナーを開催することができました。
13日は沖縄島のちょうど真ん中あたりにある名護の名護市民会館中ホールで第一部「やんばるのひとと自然,そして観光」と題して講演会を行いました。
ここでは自然・文化・景観の豊かなやんばるを観光資源という観点から、昨年10月に発足した国土交通省観光庁の課長にもご講演をいただき、およそ130名程度の方々の参加がありました。14日は議論の中心地である沖縄島北部のやんばる、国頭村比地地区(くにがみそんひじ)の公民館をお借りして地元着地型の観光というものを考えました。この講演会にはおよそ100名の方々が参加され、比地地区の方に集落などを案内してもらうという企画と、文化庁の方から「文化的景観とななにか」というお話と我がメンバーである早石周平さんの航空写真をつかったプロジェクトの成果発表、それを踏まえたパネル討論でこれまた立ち見になるほどの盛況でした。今回のセミナーでは、北海道班からも田島先生をはじめとして5名のメンバーが沖縄に来られ、奄美沖縄班の案内でセミナー前後に沖縄のあちこちをご覧になりました。北海道と奄美沖縄の文化の違いを目の当たりにしたと同時に似通った点も見つけられたようで、共同で出版するシリーズ本にその成果が反映されることを期待しております。
ー近畿班勉強会(中世京都を支えた里山)と合宿の報告
近畿班では、「歴史に弱い」という自覚のもとに、歴史関係の専門家にお話を伺うという勉強会を実施してしています。2月4日は大村拓生(大阪工業大学情報科学部)さんをお招きして、森林総研関西支所にて、「河川流通と薪炭・木材資源」と題するお話を伺いました。大村さんは「日本中世における畿内地域史と都市・流通」をテーマに研究をなされ、「中世の淀川流通をめぐる諸問題」(『中世土器研究』]Y、2002年)、「中世嵯峨の都市的発展と大堰川交通」(『都市文化研究』3、2004年)など、近畿班がおさえておくべきテーマを研究されています。また2月21日にはパリノサーヴェイの古環境学者である辻本裕也さんを大阪市立自然史博物館にお招きし、「歴史時代、河内平野周辺の植生はどう変化した?」というテーマで、弥生時代以降、継続的に多様な人間活動の影響を受けてきた河内平野とその周辺山地について、近世以降の里山での各種の経済活動の動向はどこまでさかのぼれるのか、それ以前にはどのような時期にどんな変化があるのか、遺跡における地形変化と花粉から迫っておられる辻本さんの研究をお聞きしました。
さらに2月26日には、近畿班合宿として、和歌山に行き、まず紀伊風土記の丘で、加藤幸治さん(和歌山県立紀伊風土記の丘学芸員)と高木徳郎さん(和歌山県立博物館学芸員)のセミナーを聴き、翌27日には県の方のご案内で、いくつかの備長炭の施業林と炭焼きがまをみせていただきました。この合宿には、さきの大村さんも来ていただき、水野章二さんともども歴史学のお話をいろいろ聞かせていただいて有意義な議論ができたと思っています。
ー栽培植物班研究会
3月1日には大阪府立大学にて、栽培植物班研究会が開催されました。北海道の考古移籍からフローテーションという微細な遺物を水を使って取り上げる手法で炭化種子を研究されている椿坂恭代さんのお話から始まり、ダイズやアズキの系統学的な研究や、ヤナギタデを使ったタデ汁というものが三河にある話、台湾の絶滅危惧雑穀タイワンアブラススキの話、日本に広まったお茶の木チャの直接の祖先は寧州にあった話、西洋薔薇が現在のかたちになるまでに中国や日本の野生のバラを使った品種改良がおこなわれてきた話、など、イネやコムギのような「主要作物」とは違った、雑穀から園芸植物にいたるまでのさまざまな人間と植物との関わりを考えることができる貴重な研究会でした。今回の研究会の発表者の方々を中心にして、北海道大学図書出版会から栽培植物班で一冊、本を出版していただく予定です。山口裕文先生、どうもありがとうございました。
ーーー3月の行事
3月には以下の行事が予定されています。
中部班報告会「秋山の自然と人間−その歴史と文化を考える−」
長野県栄村での中部班報告会「秋山の自然と人間−その歴史と文化を考える−」
日時:2008年3月7日(土)・8日(日).両日とも午後1時開始
会場:
3月7日(土)…栄村役場
3月8日(日)…秋山郷総合センター「とねんぼ」
案内PDF(113kb):http://www.chikyu.ac.jp/retto/osirase/akiyama-houkokukai_090306.pdf
ポスターPDF(115kb):http://www.chikyu.ac.jp/retto/osirase/akiyama-houkokukai_090306_poster.pdf
案内URL:http://www.chikyu.ac.jp/retto/osirase/akiyama-houkokukai_090306.htm
第55回日本生態学会岩手大会
日時:2008年3月17日〜21日
会場:岩手県立大学
大会URL:http://www.esj.ne.jp/meeting/56/
発表予定
第120回日本森林学会京都大会
日時:2008年3月3月25日〜28日
会場:京都大学
大会URL:http://www.forestry.jp/contents/meeting/meeting.htm
発表予定
ーーーシリーズ本のこと
遅くなっていますが、文一総合出版より執筆依頼が昨日、発送されています。全体の簡略目次をみなさまにもお送りいたします。なお、5月10日には全体のまとめとなる第1巻のための研究会を東京大学駒場キャンパスで開催する段取りにしています。詳細はまたお伝えいたしますが、生物多様性締結国会議COP10に向けて、日本の生態学者を中心にALL JAPANの体制をつくろうとしていて、その会合が5月8日から10日午前にかけて駒場で行われます。その最終日の午後をおかりして、懸案の「賢明な利用」とななにか、それはこれまで日本ではどのように実現し、また実現していなかったのか、将来どのようなことを考えていけばいいのか、などについて主に第1巻の執筆者のみなさんに発表していただきたいと思っています。
ーーー予算執行と来年度予算のこと
予算執行にご協力いただきましてありがとうございました。 こころからお礼を申し上げます。
物品納品や出張予定がまだありますので予算執行が確定するのはまだもう少し先のことですがなんとか無事完了できそうだと思っております。来年度は成果発信のほうに予算を投入し、みなさまの研究自体に回る金額は残念ながら少なくなるような計画を立てております。よろしくご理解、ならびにご協力をお願いしたいと存じます。
ーーー最後に先月の湯本の足跡は、
2月4日 近畿班歴史勉強会(京都市)
2月13日−16日 地球研地域セミナー(沖縄県名護市・国頭村)
2月19日− 20日 地球研外部評価委員会(今年が唯一、列島プロジェクトは発表しなくてすむ年でしたが、一応主幹として待機していました)
2月21日 日本生態学会常任委員会(東京大学)
2月23日−24日 屋久島生物多様性委員会(鹿児島県屋久島町)
2月25日−27日 近畿班合宿(和歌山)
今月は2008年度最後の月です。来年度からは本研究の4年目にあたりプロジェクトのまとめが始まり、みなさまには一層ご協力をお願いすることとなると思いますのでこれからもよろしくお願いします。最後になりましたが、3月いっぱいでいまの勤務先を退職される先生方(完全に網羅していないので、該当しているのにお名前を挙げていないかもしれません。申し訳ありません)、片山一道先生、田島佳也先生、山口裕文先生、長い間のご勤務、お疲れ様でした。わたしたちは、これからも先生方のお力が必要ですので、これからもプロジェクトのメンバーとしてよろしくご協力、ご指導をよろしくお願いいたします。 なお、とくに新年度となって、職場を移動される方は、早めに高橋のほうまで、変更のお知らせをいただければ幸いです。
湯本貴和
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Takakazu YUMOTO