【開催報告】2019年度地球研オープンハウス

2019年7月26日(金)に「2019年度地球研オープンハウス」を開催しました。地球研オープンハウスは、地球研の研究活動を広く地域の方々に知っていただくことを目的に、2011年度より年に1回開催しており、今年は9回目となりました。

今年のテーマは「探そうよ★環境のなかの君の好き」。私たち地球研の研究者は、地球環境問題の解決に向けて世界各地で研究しています。その研究にふれて、自然や環境のなかに自分の好きなものや大事なことを一つでも見つけ出してほしいという思いをこのテーマに込めました。

暑い中にもかかわらず668名の来場がありました。防災や資源、食、ゴミ、生物多様性、気候変動など、多様な環境問題を取り上げ、地球研の研究を一堂に紹介する年に一度のイベントは今回も大盛況でした。

【プロジェクトブース】

それぞれの研究プロジェクトでは、研究調査地の紹介や、実際の研究方法を体験できるコーナーなど研究内容に即したイベントを行ないました。京都市内のハザードマップをパズル形式で作成していくコーナーや、川の中にいる小さな生き物を探して観察するコーナー、食の想像・創作をテーマにした展示など身近な自然環境に関するものから、砂の中に隠されている鉱物を探したり、うんちやおしっこが形をかえて肥料になるまでを展示するユニークなものまで、工夫を凝らしたイベントがたくさんあり、皆さん興味深そうに見たり聞いたり体験したり、楽しんでもらうことができました。

そして各プロジェクトブースでヒントを得ながら謎解きを行う「クイズラリー」も同時に行い、スタンプを集めながら一生懸命クイズに挑戦してくれました。


【冷凍室体験】

普段は入ることができない実験施設へのツアー「冷凍室体験」では、雪氷試料や生物試料、水試料が保管されている冷凍室に入り、外気との気温差50度を体感してもらいました。冷凍室はとても寒いけれど、刺激求めて何度でもトライする子供もいて毎年大人気のイベントです。


【実験!水にもキャラがある!?】

水に溶けている成分をパックテスト試薬で測定し、色の違いから、硬度の違いを目で見て体験したり、味の違いを体験したりして水の個性を発見しました。また異なる水では、せんたく石けんと水をまぜたときに泡の大きさがちがうことも体験するなど、自由研究のアイデアにもつながるコーナーとなりました。


【考え方の違いを見つけてみよう!】

参加者は、遠足に行くと仮定して紙に描かれたお菓子選びをしました。自分の好きなものを選んだけれど、まわりのお友達と見比べてみると違うものを選んでいることもあります。もし遠足なら違うものを選んでも友達と交換ができて楽しいけれど、皆それぞれ考えが違うとき、解決が大変なこともあります。そんなときどうするのか。琵琶湖の水草問題を事例に解決法を考えました。


【怪しいお土産屋さん 日本に持って帰れるか!?】

海外に行ったとき、思い出をもって帰れるお土産選びも大きな楽しみの一つ。けれど、自分が選んだお土産が実は税関で没収されるものだったら!? 外来種や希少生物の保護・伝染病、環境に関するものなど、なぜ日本に持って帰れないかを体験的に学びました。


【10才の君へ 本から見つける新しい世界】

地球研の所員が、自分の世界を広げてくれた本を手がかりに、10歳のこどもたちにでもわかるように魂を込めて本を紹介するという初企画です。紹介した本は『裸のサル—動物学的人間像』、『食べて始まる食卓のホネ探検ゲッチョ先生のホネコレクション』など生き物や食べ物にまつわる本から、『交通新聞社の文字の大きな時刻表 季刊夏号2019』など少しマニアックな本まで、夏の読書感想文を一味ちがうものにしてくれそうな企画になりました。


【高校生によるパネル発表】

地球研が連携授業で協力する高校生によるポスター発表「17才の研究者」では、SSHに指定されている京都府立洛北高等学校や兵庫県立明石北高等学校の生徒や、近隣の京都府立北稜高等学校の生徒よる1年間の環境学習の成果発表を行いました。発表内容は、「アンケート調査からみる高校生のInstagram利用~男女における利用のちがい~」、「管住性ハチ類の生態」、「カレーで考える地球環境」など高校生ならではのユニークな発表があり、高校生と来場者の会話が弾んでいました。


【東大院生企画 Visualize & Share「ゴミ忍ゲーム!」】

東京大学(多文化共生・統合人間学プログラム)の大学院生がオープンハウスにイベントを持ち込んでくれました! 子どもたちは大学院生が生み出したオリジナル「ゴミモンスター」たちを退治しながら、なぜゴミなのか? そもそもゴミとは何か? を考え、よい地球環境とは何かを考えました。これまでにない、大学院生のユニークな発想に、地球研所員も刺激をうけました。


【ダンス・ダンス・トラディショナル fromジャワ】

バンドン工科大学の皆さんがインドネシアの伝統的な踊りを披露してくれました。可愛くて軽快な踊りに老若男女問わず見とれていて、ここが研究所であることを忘れてしまうようなオリエンタルムードに包まれた空間になりました。


【地球犬〇×クイズ】

地球研にまつわるクイズや環境問題に触れた内容のクイズを〇×形式で出題しました。正解した子供達はとびっきりの笑顔を見せていました。そしてダブル地球犬との記念写真をパチリ!


【ミニレクチャー】

大人を対象にした地球研の研究者によるミニレクチャー「世界の地球環境研究」では、「地球環境問題と地球研。早分かり」「生態系の変化を調べる方法」や「フューチャーアースって何だろう?」の3つのレクチャーを行いました。

また京都市との共同企画のコーナーでは、2018年10月に国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が出した「1.5℃特別報告書」や、2019年5月に京都市で行われたIPCC総会京都市開催記念シンポジウムにて宣言された「1.5℃を目指す京都アピール」をうけ、市民の皆さんに環境への意識を高めてもらうため、パネル展示や安成哲三地球研所長による「地球温暖化はなぜ(産業革命以降の上昇を)1.5℃に抑えねばならないのか?」と題してのレクチャー等を行いました。


【ゲームカフェ ちきゅうけん】

エネルギーをめぐる問題を楽しく学べる地球研オリジナルのボードゲーム。参加者は漁師さんになって、大漁を目指して出港します。沖にでてマグロなど市場価値の高い魚を狙いたいけれど、限られた燃料エネルギーの中でうまく漁をすることがコツで、頭をフル回転させて真剣に取り組む子供たちの姿が見受けられました。


【わくわくフィッシング】

身近な生き物や絶滅危惧種の生き物のイラストを釣り上げる「わくわくフィッシング」は、小学生未満の小さい子どもでも簡単に遊べて学べるイベントです。所員が描いた生き物の絵はとても味があり、子どもたちは釣り上げた絵柄をみて大喜びでした。ゴミを釣った場合はきちんと分別してくれました。


【人とVR(バーチャルリアリティ)の新しい世界】

ドローンを使って撮影した地球研周辺の景観やフィールド調査地で撮影した風景を、バーチャルバーズアイとして360度を見わたせる映像で見ることができ、空を飛んでいるような不思議な感覚に参加者からは感激の声が上がっていました。


【すずしさへの工夫】

「涼しい川柳・4コマまんが」では、川柳や4コマまんがで涼しさのアイデアを募集しました。力作ぞろいです。作品はHPでも随時アップしていきますのでお楽しみに。

また直に涼しさを感じてもらうために、正面玄関(外)には所員が氷をけずってつくった「氷のちきゅう犬くん・ナス子ちゃん」を展示しました。冷凍室で氷のかたまりを作り、地球犬の顔の形にけずったものです。今年は地球犬くんのお友達のナス子ちゃんも初登場!さわるととっても冷たくて気持ち良く、写真を撮ってもかわいいです。


【図書室一般公開】

中庭の池やお花をみながら、落ち着いて本を読める空間です。今回は大人から子供まで興味のある「妖怪」に関する本を多くピックアップしてみました。また、気候や動植物など自然環境に関する本も手に取っていただきました。


【オープンハウスを終えて】

今年も近隣の皆様や、日頃地球研の活動に関心をもっていただいている皆様にお越しいただき、地球研の研究に触れてもらうことができました。

今年は東京大学大学院生(多文化共生・統合人間学プログラム)や、インドネシアバンドン工科大学の学生、高校生によるイベントもあり、若い力が活躍してくれたオープンハウスになりました。お越しいただきました皆様にも一味違った雰囲気を味わってもらえたことと思います。

来場者からは、「自由研究もみつかり色々なイベントがあり楽しかった」、「毎回気づきがありとても勉強になります。このようなイベントは是非続けてほしい」といった励みになる言葉をいただきました。来年も期待にそえるよう、親子で楽しく学習できるイベントも企画してまいりますので、これからも地球研の活動へのご理解、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。お越しくださった皆様、ありがとうございました。

(広報室)

過去のオープンハウスコンテンツ、地球犬とナス子が世界のフィールドを旅する「地球犬と行く!世界の冒険」などが見られます。

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