大学共同利用機関法人　人間文化研究機構　総合地球環境学研究所

平成28年9月16日に福島市で開催された水文・水資源学会の総会・研究発表会において、檜山哲哉氏（名古屋大学宇宙地球環境研究所･教授、総合地球環境学研究所・客員教授）が、地球研和文学術叢書『シベリア ─温暖化する極北の水環境と社会』（京都大学学術出版会, 2015年）により、水文・水資源学会の学術出版賞を受賞しました。本賞は水文・水資源学の発展と社会への普及に大きく貢献した出版書籍の主な著者に授与されるものです。

受賞の対象となった書籍は、地球研の研究プロジェクト「温暖化するシベリアの自然と人 ─水環境をはじめとする陸域生態系変化への社会の適応」の成果をまとめたものです。檜山氏はこのプロジェクトのリーダーであるとともに、対象書籍の編著者です。

対象書籍は4部構成となっており、シベリアの自然、社会、文化、温暖化に代表される環境変動とそれに関わる多様な社会問題を、「水循環・水環境」という共通軸により多角的に解き明かしています。様々な専門領域を有するプロジェクトメンバーにより執筆されたものの、「水循環・水環境」を基軸とした強い統一性が保たれています。これは、檜山氏がプロジェクト実施時に発揮した類い稀な能力とリーダーシップ、そして多大な労力の結実であるとして高く評価されました。対象書籍は、檜山氏の率いた研究プロジェクトが水文･水資源学における国際共同研究・学際研究の集大成として認められ、同学会が目指す「分野横断・学際研究」の完成形の1つの形態を示したものとして評価されました。