オアシスプロジェクトの研究の対象とするのは,中国,甘粛省から内蒙古自治区にまたがる黒河流域(the Heihe River Basin)です.緯度は北緯38-42度で,日本の東北地方とだいたい同位置です.流域の南部には標高5000mをこえる祁連山脈(きれんさんみゃく)がそびえ,流域の北部はゴビ砂漠としてしられる乾燥地帯が広がっています.この地域は,シルクロードの一部として古くから歴史の舞台であり,最近は砂漠化が深刻な問題となっています.

黒河流域の位置

 黒河流域の面積は130,000 km2で,京都府の約28倍の面積です.タクラマカン砂漠がひろがるタリム河流域と並んで,中国では二番目に大きな内陸河川の流域です.この流域を流れる川「黒河」は,流域の南の祁連山脈の氷河を源流とし,山麓の森林地帯を流れ,オアシス地帯,沙漠地帯を経て,最後「居延澤」とよばれる湖に流れこんで消滅します.流域は,黒河上流部の山岳地域,中流部のオアシス地域,下流部の沙漠地域の大きく三つの地域にわけることができます.年間降水量は,その地域によって大きく異なり,上流山岳地域で300-500mm,中下流部のオアシス,沙漠地域で30-50mmです.

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黒河流域地図

 黒河中流域では,古くから農耕が行われており,紀元前210年にはすでにはじまっていたといわれています.一方,黒河下流部では,遊牧に依存した人々が生活しています.祁連山の山岳部より流れる水資源をめぐって,中流部の農耕産業と下流部の遊牧産業との間に,大きな問題がおきています.

黒河流域の模式図


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