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総合地球環境学研究所
INTERNATIONAL WORKSHOP
 
  ★研究プロジェクトについて  
 

本研究では環境問題の背景に存在する国境、民族/国家、宗教、生業(農業と遊牧)、都市とその周辺といった「境界」の問題を取り上げます。中央ユーラシア半乾燥地域は、かつては牧業を主とした遊牧民の世界でしたが、民族の移動、民族/国家の興亡の時代を経て、ロシア、清の二大勢力によって国境線が引かれ、遊牧民の定住化と農耕への転換という生業の大きな変化が起きました。近年では大規模な開発が行われ、その負の遺産として現代的な環境問題を抱える地域でもあります。環境と人間の相互作用の歴史的変遷を「境界」の問題に着目して考察し、「未来可能性のある社会」への新たな視点を獲得すること目指します。

 
     
  ★研究の背景と目的  
 

中央ユーラシアに広がる半乾燥地域は、オアシスを除けば遊牧の世界でした。遊牧を主体とする民族/国家の移動や興亡が繰り返される中で、18世紀後半にはロシア、清の二大勢力によってそれまでとは異なった明瞭な「国境線」が引かれます。同時に農民の流入、遊牧民の定住化といった生業の大きな変化も生じます。その後中国側、ロシア側とも社会主義体制下での開発が行われる時代となり、さらにロシア側はソ連邦崩壊によって多くの共和国に分かれました。近年世界的に見ても環境問題の背景に、国境、民族/国家、宗教、生業(農業と遊牧)、都市とその周辺といった人間によって作られた「境界」の問題が存在します。人々は民族の移動や国家の興亡という時代の流れと自然環境の変動の中で、どのようにそれに適応して生きてきたのでしょうか。本研究では、環境問題に関わる「境界」の問題を軸として、中央ユーラシア半乾燥地域における環境と人間の相互作用の歴史的変遷を解明することを目的とします。

 
     
  ★研究内容  
  本研究では、ユーラシア中央部の半乾燥地域にあって、中国・カザフスタン両国にまたがりバルハシ湖へ注ぐイリ河流域とキルギス、ウズベキスタンなども含んだ周辺地域を対象とします。まず対象地域における民族/国家の移動、盛衰や農業、牧業などの生業形態、水利用形態、地域の気候等の歴史的変遷を、歴史文献等各種資料の解読および雪氷コアや湖底堆積物、樹木年輪試料などの代替記録媒体の解析、さらに考古学的調査研究などによって解明します。また対象地域の生業、例えば農業や工業、林業、遊牧業それぞれが環境に与える影響等を調査し、近年の人間活動と環境変化を、背景となる社会的、宗教的、文化的要因と関連させつつ解明します。 これらを総合し、もとより同じ環境にあったにも関わらず、近代以降異なる国家に分断された地域を多角的に比較検討することにより、環境問題における「境界」の問題を考察します。  
     
  ★期待される成果  
  本研究によって、半乾燥地域において今後想定される農地開発の進行といった人間活動、温暖化など自然環境変動などが地域の環境に与える影響の評価に資するとともに、民族、言語、宗教などが異なる多様な集団が存在する地域における望ましい国家のあり方を考えるための基礎となることが期待されます。  
     
 
1900年初頭の放牧風景
 
 
                                   1900年初頭の放牧風景
 
   
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