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No.4 インド共和国ラージャスターン州 — 山村に暮らす人々と伝統農業
解説者:遠藤 仁 (総合地球環境学研究所 プロジェクト研究員) |
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インドやエジプト、シリア、ヨルダン、日本などで10年以上遺跡の発掘に従事している考古学者です。人類の「モノつくり」の技術的解明を研究のメインテーマにしており、各地で現在の職人による手工芸品生産の調査や、自ら工芸品や様々な道具の実験的な復元製作なども行っています。現在はインドの農村部で発掘ではなく、民俗調査に従事しています。 |
< インド共和国ラージャスターン州 > | |
地理 : | インド北西部、パキスタンに国境を接するインドで最も広い州(日本とほぼ同じ面積)。その大部分にタール砂漠が広がっているが、アラヴァリー山脈が東西を隔てており、西側がより乾燥している |
気候 : | 6~9月に雨季があるが、それ以外は乾燥して暑い。特に砂漠地帯では気温が50℃に達することもある |
経済 : | 農業、牧畜、大理石採掘、繊維産業、観光業 |
言語 : | ヒンディー語、ラージャスターン語、ウルドゥー語 |
宗教 : | ヒンドゥー教、イスラーム教、ジャイナ教、シク教、キリスト教 |
食文化 : | いわゆるカレー(マサラ料理)がメイン。主食は米食もあるが、主に小麦やトウモロコシ、雑穀の粉で作ったチャパティ(円形の薄焼きパン)。菜食主義者(ベジタリアン)が多く、肉を食べる人は少ない |
建築 : | マハラジャ(王様)やイスラーム王朝時代の堅牢な石造りの城塞が点在しているが、一般的な村落部の伝統的な住居は石を積み重ねたり、土を突き固めて壁にしており、屋根には素焼きや天然石製の瓦が葺かれている。また、住居内や前庭部に家畜用(コブウシ、水牛、ヒツジ、ヤギ、ラクダなど)の小屋が設けられていることが多い |
その他 : | 【ラージャスターン州の伝統農業】 インド北西部では、畜力(主に雄牛)を用いた農業が広く行われている。ここで紹介したような牛耕の他にも、畜力揚水井戸もあり電力や化石燃料に頼らない伝統農業が残存しているが、近年の急速な経済発展とともにトラクターやエンジンポンプが広く普及し始め、前述の伝統農業は急速に失われつつある。そこでこのプロジェクトでは、当地の伝統農業を記録保存するために主にラージャスターン州南部で調査を行い、そのデータベースを作成している。 |