地球研オープンハウス2012

地球犬と行く!世界一周の旅 ~食リスクプロジェクト編~

解説者:増田忠義(総合地球環境学研究所プロジェクト上級研究員)
専門は農業資源経済学。カリフォルニアの米作と水配分、宮崎県綾町の有機農業と合意形成、ハワイのコーヒー生産と土地利用、そして米中西部イリノイの大豆産業と国際市場をフィールドに食料生産と環境保全が調和する資源の有効利用のあり方を研究してきました。今はフィリピン・ラグナ湖流域をメインフィールドとする東南アジアの環境変化と食リスクの研究に取り組んでいます。
研究者業績ページ

増田写真

- まとめ -

フィリピン国ラグナ(県名でもあり、地方名でもある)
フィリピン国の3000以上ある島の中で一番大きいルソン島の南部にある、ラグナ湖の南岸から東岸一帯のエリア。西岸には首都マニラがあります。

気候:モンスーン亜熱帯

経済:伝統的に漁業(淡水魚、ティラピア、コイ、ナマズなど)と農業(米作中心、ココナツ、バナナ、パイナップル)。ラグナの特徴的な産業としてダックレースが盛ん。パイナップルの葉の繊維で織ったフィリピンを代表する礼服・バロン・タガログも主にこの地方で生産されている。マニラ方面に近づくにつれて都市化・工業化が進行していく。

人種・民族:マレー・フィリピーノ(生粋のタガログ族)

言語:フィリピーノ(タガログ、ほぼ同義)

宗教:カソリック

食文化:米と魚介・チキンが基本。豚肉・他の家禽(ダック)も良く食べる。揚物、煮物、サラダ等どの料理にも カラマンシー(calamansi、英名フィリピンレモン)を好みで、しばしばたっぷりと絞りかける。お酢の酸味が食欲を増進するシニガンスープ(SinigangSoup)も美味しい。チキンやポークを醤油ベースで野菜と甘く煮込んだアドボ(Adovo)も日本の肉じゃが・筑前煮のような一般料理。

建築:オールドストーン・スパニッシュハウス(Old-stone Spanish house)。スペイン建築の影響を受けた、石(コンクリート)づくり、塀と鋳物作りの柵に囲われた家。パステル調の色でペイントされたり、スパニッシュがローカライズした装飾が見られる。庶民の家屋としては竹を骨組みとしニッパヤシの葉を屋根材・壁材とするニッパハット(nipa hut)がまだまだ見られる。

【伝統的知識】
ラグナ湖と暮らしが結びついており、アヒルが鶏と同様良く飼われている。伝統的なレジャー産業としてダックレースが盛ん、庶民の楽しみの一つ。孵化直前のダックの卵を茹でたバロット(balut)は滋養強壮食として路上で売られている。キャッサバケーキやブコパイ(buko pie)(buko:椰子の実の果肉の若くてやわらかい部分)、米粉で作られた餅菓子、バナナを揚げたもの、茹でトウモロコシなど様々な地元産のお菓子が午前と午後の間食(ミリエンダ merienda)に供される。

1 2 3 4 5 世界一周の旅 一覧に戻る 世界一周の旅 一覧に戻る