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地球研IS「熱帯農業における近代化需要と環境劣化に関わる統合的解析」セミナー
「熱帯農業三大陸比較」第5回

総合地球環境学研究所IS「熱帯農業における近代化需要と環境劣化に関わる統合的解析」では、下記の要領で、「熱帯農業三大陸比較」第5回セミナーを開催致します。今回は、特にその有限性が意識される生態系や自然資源の側から、人間活動の影響を省みる視点を強調しました。多数のご来聴を歓迎いたします。

日   時: 2013年11月1日(水) 13:30~17:30
会   場: 総合地球環境学研究所セミナー室3・4  矢印アクセス
主   催: 地球研IS「熱帯農業における近代化需要と環境劣化に関わる統合的解析」
備   考:

チラシ(PDF)

 

【プログラム】
13:30~13:45 「IS趣旨説明」
   舟川晋也(京都大学大学院地球環境学堂/農学研究科)
13:45~14:45 「農業と生態系サービス」
   夏原由博(名古屋大学大学院環境学研究科)
14:45~15:45 「3大陸の湿潤熱帯における自然資源の利用
   —野生動物・家畜資源に注目して—」
   池谷和信(国立民族学博物館)
15:45~16:00 休   憩
16:00~17:00 「ブラジル農業現地視察報告」
   舟川晋也(京都大学大学院地球環境学堂/農学研究科)
17:00~17:30 総合討論
【要   旨】
1.農業と生態系サービス 夏原由博(名古屋大学大学院環境学研究科)
農業は食料や薬品などを効率よく提供する。送粉系、天敵による害虫管理、土壌形成など生態系サービスによって支えられている。近年では、水源涵養や文化など農業がもたらす食料生産以外の生態系サービスも注目されている。他方、農地開発や農薬や化学肥料使用の増加は、生態系への負荷となり、生態系サービスを低下させる。人口増加と農業の近代化が農業生態系を大きく変えつつある中、自然生態系と農業の持続可能な協働の可能性を探る。
2.3大陸の湿潤熱帯における自然資源の利用—野生動物・家畜資源に注目して—
      池谷和信(国立民族学博物館)

地球の人口増加や都市化がますます進む現在、食糧供給源としての肉や乳、および皮などの動物資源の重要性が増加している。そして、これら動物資源の生産や需要が拡大しているのが世界の湿潤熱帯地域である。ここでは、アフリカ大陸のコンゴ盆地、ユーラシア大陸のベンガルデルタ、南アメリカ大陸のアマゾン川流域を対象にして、主としてイノシシ類やブタと人とのかかわりあいから、湿潤熱帯の自然資源の利用の現在と未来について考えてみたい。
3.ブラジル農業現地視察報告 舟川晋也(京都大学大学院地球環境学堂/農学研究科)
本IS課題「熱帯農業における近代化受容と環境劣化に関わる統合的解析」に関連して、ブラジル農業の現状視察、研究者との情報交換を行った結果を報告する。アジア、アフリカにおける熱帯農業と比べて、ブラジル、特に半乾燥帯セラードにおける農業開発は、大規模な資本やエネルギー投入を前提とするという意味で、北米大陸や旧ソ連邦など温帯諸国で展開されている(されてきた)大規模農業と親近性を持つものである。一方セラードと比べ農業生産基盤の脆弱な東北部やアマゾン盆地では、より小規模な個人農家が主要なアクターとなる。今後本研究の展開に際し、当初構想の熱帯農業間の比較を強調するか、大規模農業vs農家農業の視点をとるべきか、議論したい。
【お問い合せ】
 舟川晋也
 (京都大学大学院地球環境学堂・農学研究科教授)
    
 田中 樹
 (総合地球環境学研究所准教授)