第35回 「人間活動下の生態系ネットワークの崩壊と再生」プロジェクト研究会

日  時: 2011年9月27日(火)9:30〜
場  所: 総合地球環境学研究所 セミナー室1・2 ( アクセス)

【講演1】
「社会−生態系ネットワークの構造と生態系管理:モンゴル草原とサラワク熱帯林の例から」
山村則男(地球研)

地球研プロジェクト「生態系ネットワークの崩壊と再生」におけるこれまでの研究から、モンゴルとサラワクでは、環境問題を引き起こす社会−生態系ネットワークの構造が大きく異なっていることが分かってきた。モンゴル草原では、グローバル経済の影響が牧民の保有する家畜種や家畜数に反映され、過剰利用による草原の劣化に繋がっている。サラワクでは、グローバル経済の影響が、企業の木材伐採やプランテーション開発を加速させ、住民の森林利用との間にコンフリクトが生じている。生態系保全と住民の経済的な利益を両立させる方策を考えるとき、ネットワークの構造と安定性に注目することが重要であることを示す。

【講演2】
「環境問題としての企業型漁業と零細漁業」
松田裕之(横浜国立大学)

漁業の乱獲問題はしばしば極端に誇張されるが、深刻な環境問題の一つである。環境団体の批判の標的は企業型漁業にあり、零細小規模漁業はむしろ保護の 対象である。日本の漁業者の9割以上は零細漁業である。しかし、日本の零細漁業は定義が不明確で、どこまでをどのように保護するかが未解決である。襟再漁業はその経済的非効率性が問題となり、東日本大震災の復興計画でも小規模漁業の清算が指摘されている。

生態系サービス全体の持続性を考える漁業の多面的機能、地域の持続性と企業収益性、多国籍企業としての水産会社の環境政策なども議論する。

【お問い合わせ先】
高野 宏平
(総合地球環境学研究所 プロジェクト研究員)

大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
総合地球環境学研究所
〒603-8047 京都市北区上賀茂本山457番地4
TEL:075-707-2305  FAX:075-707-2507