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木村、一盛ISプロジェクト枠組み会議
"Pacific, Eco-diversity, Human Well- Being"

地球研一般共同研究「大洋州島嶼国の自然環境の多様性と人々の生活の多様性」 (代表:木村 栄作・愛知医科大学・教授)では、標記の「枠組み会議」を開催いたします。

日  時: 2009年10月24日(土) 9:00−12:00
会  場:

那覇市ぶんかテンブス館 (アクセス)

研究課題:

「大洋州島嶼国の自然環境の多様性と人々の生活の多様性」
"A study on relationship between ecological biodiversity and human well-being in the Pacific island countries"

研究目的:
本研究の目的は、太平洋諸島における自然環境の多様性と、それに関連する人々の生活の多様性が、近年のグローバリゼーションの影響を受けてどのように変化してきたかを、環境問題・経済活動・健康問題の観点から明らにすることにある。
研究概要:
オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、南太平洋諸島からなるオセアニアはミクロネシア、メラネシア、ポリネシアの3地域に分かれ、数千の島々が22の島嶼国として点在する。西オーストラリアの乾燥砂漠からソロモン諸島の熱帯雨林まで植生は多様である。南太平洋諸島は活火山の島や環礁の島があり、地形も多様で、生物層も固有のものが多い。周囲を取り囲む海洋によって植民地化が遅れ、18世紀後半になってオーストラリアにヨーロッパ人が移住した。現在では、文化の多様性を残したまま、グローバリゼーションが進んでいる。
申請者はかつて西サモアでフィラリアの伝播研究と対策に従事し、疾病疫学、寄生虫学また媒介蚊にかかわる生態学的研究から、オセアニア地域での国・地域間ネットワークを構築し、この地域でのフィラリア制圧を可能にする仕事を推進した。
太平洋諸島ではマラリアのある島とない島が明確になっている。媒介蚊となるハマダラカはメラネシア地域にしか生存せず、ポリネシアではマラリアはない。また、フィラリア症この地域の風土病として長く存在し、島ごとに特有の伝播動態を示し、その地域性の原因はさまざまなレベルの生物自然環境の影響と人間の生活の在りようによると考えられる。ポリネシア地区ではその生理的特性の異なるフィラリアが存在し、吸血行動の異なる固有種の蚊が媒介するという伝播動態が見られる。なぜポリネシア特有のフィラリアが存在し、独自の伝播サイクルを形成したのか、なぜハマダラカがメラネシア地域のみに局在しマラリアの伝播が他の近隣地域へ拡散しないのかという謎は未だ解明されていない。
これらの疑問はただ単にそれぞれの生物学では説明できず、その地域での伝播を担う3種類の生物(ヒト・媒介蚊・病原体)の組み合わせと、その仕組み形成の過程、維持という視点から考察し、関連する環境要因を同定する必要がある。
さらに、近年のこの地域の環境・経済活動は大きく変化し、環境上の問題、生活上の問題、健康上の問題が大きく変化してきた。例えば、海面上昇とサンゴ礁の劣化は、太平洋諸島では、生活基盤上の非常に大きな問題となっている。地球温暖化による環境の変動にともない媒介蚊の分布域の拡大、デング熱などの感染症のひろがり、生態系の変化の可能性も問題となっている。 また、人の移動、移住が頻繁になり、海外からの送金に依存した経済、それによる購入食物の増加、それに伴う肥満の増加などは、健康上の重要な問題となっている。
以上の状況をふまえ、太平洋諸島における自然環境と人々の生活の多様性を総合的に研究する体制を構築し、この地域の環境問題・経済活動・健康問題と、グローバリゼーション・地球環境変動との関連を明らかにしたい。
【お問合せ】
門司和彦
(総合地球環境学研究所・教授)
総合地球環境学研究所
〒603-8047
京都市北区上賀茂本山457番地4
TEL:075-707-2215