第24回  エコヘルス研究会

プロジェクト「熱帯アジアの環境変化と感染症」 (エコヘルス・プロジェクト)では下記のとおり第24回エコヘルス研究会を開催いた します。
みなさまのご参加をお待ちして おります。

詳細チラシはこちらです。

日  時: 2009年3月30日(月)17:00−18:30
場  所: 総合地球環境学研究所 研究室11 (アクセス
講演者: 広田 勲氏(京都大学大学院農学研究科・博士課程)
演  題: 「ラオス北部山地部の焼畑村における森林景観の形成」
要  旨:
ラオス北部山地部における森林景観は、焼畑休閑林が大部分を占めている。休閑林には多くの動植物が生育し、これらは陸稲が不作だったときのセーフティネットとして働いてきたことが指摘されている。しかし調査の結果、近年の休閑期間の短縮によって、休閑林の植生が萌芽更新性の樹種と種子更新性の先駆種に限定されていることが明らかになってきた。さらに、近年タケが拡大していることがわかったが、それは1990年代前半にタケが一斉開花したときに、森林伐採などにより、樹冠の開いた広大な林地にタケが一気に更新した結果である可能性が示唆された。すなわち、焼畑休閑地の森林植生は、必ずしも長い年月をかけて徐々に変化してきたものではなく、一定の条件がそろったときに一気に変化した可能性があることがわかった。また一方で焼畑村には、面積としてはわずかであるが、山地斜面の谷の部分には水辺林が存在している。これらの水辺林は、これまで焼畑ができない土地として残されてきたり、森林伐採の規制により水源涵養林として残されてきたという経緯がある。水辺林における植生調査の結果、焼畑休閑林とはまったく森林の構造や樹種が異なること、またそれらの中には材として貴重な樹種が含まれていることがわかった。本発表では、これらの事実を踏まえて、ラオス北部山地部の森林景観が近年どのように形成されてきたのか、また、休閑林や水辺林という環境が村人にとってどのような意味があるのかについても述べたい。

【お問い合わせ先】
辻  貴志

大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
〒603-8047 京都市北区上賀茂本山457番地4
総合地球環境学研究所
TEL:075-707-2100 (代表);075-707-2498 (直通)
FAX:075-707-2106 (代表)
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