アフリカで最も深刻な自然災害は、餓死をも引き起こす干ばつである。1974年か
ら1975年にかけてサヘル地域で起きた干ばつ災害の犠牲者は、32万5千人に達し、
1984年のエチオピアとスーダンでは45万人もの死者が出た。アフリカ南部地域で
は、1992年に大干ばつが発生し、作物生育期の降雨不足のため、ジンバブエでは
食料不足となり、さらに政府の不手際な政策により損失が拡大した。この危機的
な災害から、干ばつ災害の防止・軽減のために干ばつ発生の事前および事後の災
害管理の重要性が高まった。南アフリカは、干ばつ管理の最先端国の一つで、国
や地方自治体の災害管理の統合的な運営システムを推進するために国家災害管理
センターを設置しており、季節降雨を予報する気象局と連携することで干ばつ管
理の強化を図っている。南アフリカのみならず南部アフリカ開発共同体(SADC)
地域では、干ばつ災害を緩和するための運営上のシステム作りは、まだ初期段階
にあり、干ばつ早期警戒システムの開発が急がれる。