社会・生態システムは本質的に複雑であり、それらの振る舞いを統制するマルチ空間スケールにおける動力によって構成される。これらのシステムの重要な部分は、どのように人間が相互作用するのか、これらの相互作用がどのように人間の振る舞いを変えるのか、そしてそれらの動きがどのように生物物理学的な環境に影響を与えるのかという点である。エージェントベースモデルはこれらの種類のシステムダイナミクスを詳細に分析するための道具である。本セミナーでは、特に森林伐採と植林という土地被覆変化について、社会生態システムにおける世帯レベルでの行動を研究したエージェントベースモデル(ABMs)の過去の適用結果について議論する。これらのABMsは、ある世帯がどのように土地利用を決定するのか、そして,その決定が分析対象の地域スケールにおけるマクロレベルの結果にどのような影響をもたらすのかを分析することに用いられている。エージェントベースアプローチはこのような種類の研究に有効である。なぜなら、ABMsはアクターとアクターの不均質の相互作用を特定するようにデザインされているからである。
この研究を実演するために、次の一連の研究結果を用いて例題が議論される予定である。それは,1) 米国中西部における植林プロセス、2) ラオスにおける焼き畑農業からゴムプランテーションへの変遷、3) ザンビアにおける気候変動に対する適応に関する研究のためのプロトタイプモデル、この3つである。本セミナーでは、GISそして社会生態システムのスケール依存性を用いて、物理的な環境に対する結合アクターの異なる方法についても議論する。本発表における全体的な目的は、ローカルレベルアプローチのこれらの種類の研究における利点と不利点、地球規模変化の人的側面に関する世帯ベース研究の新たな方向性について議論することである。