第8回地球研地域連携セミナー
多様性の伝えかた――子どもたちのための自然と文化
開催報告


「生物多様性の大切さをどのようにして次世代へ伝えていくか?」。本セミナーは経済価値だけで計ることのできない生物多様性の重要性について、広い意味での「教育」と、「文化の多様性」をテーマに名古屋大学との共催で行われました。

基調講演にはアフリカから南アメリカ南端までの人類の旅をたどった「グレートジャーニー」の冒険家、関野吉晴氏(武蔵野美術大学教授)が登壇し、世界各地でみた多様な衣食住の事例をもとに、人類の分散を進めたパイオニアたちが遺伝的にではなく、文化を築くことによって地域の自然を受け容れてきたと論じられました。

地球研の辻野亮上級研究員は、屋久島での生態学的研究と地元への成果発信の経験をもとに、生物多様性の魅力と人知で量り難い自然の理不尽さとを紹介しました。神松幸弘地球研助教は子どもたちに生物多様性を理解させる活動を報告し、依田憲名古屋大学准教授はビデオを使い動物の視点からみた世界を、夏原由博名古屋大学教授は里山の自然や食事などみぢかな生物多様性とその恩恵を紹介しました。

パネルディスカッションでは阿部健一地球研教授と横山智名古屋大学准教授が司会にたち、4名の講演者とともに参加者から寄せられた質問をもとに、具体的な教育の取り組みや文化の多様性についての議論を行いました。当日はCOP10開催1週間前でもあり、約200名の熱心な参加者に恵まれました。(神松幸弘)

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写真左から、宮田隆司 名古屋大学理事・副総長挨拶、関野吉晴 武蔵野美術大学教授、辻野 亮 地球研上級研究員


写真左から、神松幸弘 地球研助教、依田 憲 名古屋大学大学院環境学研究科准教授、夏原由博 名古屋大学大学院環境学研究科教授


写真左から、阿部健一 地球研教授、横山 智 名古屋大学大学院環境学研究科准教授、パネルディスカッションの様子


立本成文 地球研所長 閉会挨拶