第6回地球研地域連携セミナー
「山・ひと・自然−厳しい自然を豊かに生きる−」
開催報告


平成21年11月28日に、まつもと市民芸術館において、第6回の地球研地域連携セミナー「山・ひと・自然−厳しい自然を豊かに生きる−」が信州大学、信州大学山岳科学総合研究所および松本市と共催で開かれました。約180名の方々にご参加いただきました。今回のセミナーでは、長野県の厳しくも豊かな自然との関わりの中で育まれてきた里山や、少ない医療費で長寿社会を実現した地域医療のシステムを例として、人間にとっての「豊かさ」とは何か、地域で「豊か」で持続可能な社会をどうつくるかを、テーマとしました。

最初に、菅谷昭松本市長および山沢清人信州大学長のお二人から挨拶をいただいた後、まず、地球研の窪田順平准教授が「環境問題:地域と地球をつなぐこと」と題して、今回のセミナーの趣旨説明を行いました。

それに引き続き、地球研の奥宮清人准教授から「ヒマラヤに生きる−生老病死と環境−」、信州大学副学長・同大学人文学部の笹本正治教授から「信仰から見た山と人間の関わり」、同大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センターの中村寛志教授から「安曇野のオオルリシジミ−チョウが舞う里山の再生−」、社団法人松本市医師会の須澤博一会長から「地域の暮らしと環境の関わりからみた医療−松本市医師会の取り組み−」の4つの話題提供が行われました。

これを受けて、信州大学山岳科学総合研究所長の鈴木啓助教授と地球研の阿部健一教授の司会のもとで、趣旨説明者・話題提供者に坪田明男松本市副市長を加えた6名のパネラーにより、信州の人々と自然の関わりがどのように変化しつつあるのか、さらに今後どうすべきであるのか、地球環境問題の根源でもある「豊かさ」とは何かをめぐり、さまざまな角度から活発な議論が行われました。

最後に、地球研の立本成文所長が、「地域の持続的な発展に加え、地球の未来可能性をも考える必要がある」と述べて、セミナーを締めくくりました。

なお、会場には、地球研や信州大学、信州大学山岳総合科学研究所の研究活動を伝えるポスターの展示をはじめ、今回のセミナーに先立って中日新聞長野版に連載された信州大学、地球研の研究者の執筆による約40件の記事が展示されました。さらに、地球研叢書や信州大学山岳総合科学研究所の刊行物などの販売もあわせて行われ、来場の方々に好評でした。

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写真左から、菅谷昭 松本市長、山沢清人 信州大学長、窪田順平 地球研准教授


写真左から、奥宮清人 地球研准教授、笹本正治 信州大学副学長・人文学部教授、
中村寛志 信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター教授


写真左から、須澤博一 社団法人松本医師会長、坪田明男 松本市副市長、鈴木啓助 信州大学山岳科学総合研究所長


写真左から、阿部健一 地球研教授、パネルディスカッションの様子、書籍販売の様子


パネル展示の様子