8月1日のご挨拶に、以下のことを書きました。 「環境史年表を作成するためのWGを、近々にそれぞれの地域班から担当者を出していただいて結成する (環境史年表が如何なるものかということに関しては、来週に、湯本が別にメッセージをお届けします)」
環境史年表とは、それぞれの地域班のさまざまな成果を地域内で統合するとともに、「ひとつの日本」のなかでの諸様相として理解するための、共通のプラットフォームとして用意するものです。
このプロジェクトでは、それぞれの地域における環境変遷と人間活動、とりわけ生物資源の枯渇や維持管理とそれに関わる技術革新の画期と「重層する環境ガバナンス」(加えて、気候変動)が共通テーマとなってきています。「重層する環境ガバナンス」とは、現代社会でいえば、個人、家庭、共同体、市町村、都道府県、日本政府、国際社会などのさまざまなレベルでの思惑や利害対立、それを緩和する制度取り決めなどです。歴史的にみれば、地租改正という全国レベルの政策が、それぞれの地域社会の資源管理にどのような影響を与えたか、その共通性と地域性を明らかにするというようなものが、研究の一例です。
それぞれの地域での「ある歴史的な出来事」を考える際に、だれでもが行う「時代的背景の考察」といわれているものに関して、その重層性を明示化しようとする試みといってもよいのかもしれません。
花粉分析などで示される局所的な植生変遷をその周辺の歴史的な出来事、趨勢、人口動態で解釈するのは当然ですが、それを取り巻く地域的な動向(たとえば北海道、東北、近畿といった地域スケールで)、さらにそれを取り囲むような、全国的に影響を及ぼす出来事、新技術の導入、政策転換、気候変動などを示すということ(添付のppt)で、さまざまなレベルでの環境ガバナンスの関与を解析することにつなげていきたいと考えています。その環境史年表に、皆さん方の個別の研究を位置づけることが、プロジェクトの統合された成果となることを期待しています。
ここに示したのは、あくまでもプロトタイプで、まだまだ時間スケールや空間スケール、その精粗の度合いなど、多くの検討課題がありますし、使える試資料の制限もあるでしょう。そこのところを検討していただくワーキンググループをつくりたいというのが、わたしの希望であり、皆様へのお願いです。
まず古環境から高原先生(アドバイザー)を含めて数名の方、それから各地域班から最低お一人の方を担当としてお願いしたいと思います(ただしサハリン・沿海州班は、扱う地域が日本とは異なるガバナンスで動いてきたし、テーマが時代区分されているので、あえて環境史年表は求めません)。地球研スタッフは、もちろん全員が取り組みます。地域班のからのメンバーは、最終的には各地域のとりまとめをお願いすることになろうかと思いますので、超多忙なリーダーではなく、実行部隊として働いていただく方を望んでいます。
8月20日ごろまでに、各地域班のリーダーの方からのご指名をお待ちしております。
湯本貴和