2008年12月5-6日,地球研4研究室にて会合.
2008年12月6日午後,列島プロ全体集会で発表.
参加者:湯本貴和,右代啓視,三戸幸久,寺島宏貴,堀内美緒,上野淳也,蛯原一平,辻野亮
北から順に,北海道班,東北班,中部班,九州班,奄美沖縄班による説明と質疑.近畿班は堀内さんが電車の遅れで説明できなかった.
・ 開拓史以降,すなわち明治以降にならないとデータとしてはきびしい.たどれても中世までで,だいぶデータは少なくなるだろう.
・ 明治6年から開拓・移住が始まり,後に北海道庁ができる
・ ニシン漁.江戸末期から.
・ ニシン漁をした後にはニシンを乾燥させるための薪がいる.ニシン漁と森林伐採,魚付林には深いかかわりがある.ただしどこをどれだけ切ったかはわからない.
・ ニシン漁→だいぶ伐採→管理できていない(数値的には示せないが伐採が進む)
・ 水田の広がりを見ると土地利用を扱えるのではないか.明治以降の変化なら氷見山ほかの方法で地形図の土地利用記号を起こしていけば見られるはず.
・ 北海道は環境の変化に敏感で,地域によって反応性が違う.
・ 人口に関する細かな問題をフォローすべき.たとえば鬼頭(2000)でいう北海道の人口にはアイヌが入っているのかいないのか.アイヌ人口は文献としてはあるが,個々の文献を拾うのが大変(膨大な仕事量になるだろう).
・ 「賢明な利用」はあったのか?北海道にはなかった.
・ 水産資源と森林資源
Ø 伐採の問題,人工孵化,魚付林の範囲と広がり(資料は断片的で全体像は描けない)
Ø 貝がどのように拡散するか.
・ 災害・自然史は整理できそうだ.
・ 奄美沖縄班とのすり合わせ
・ 石炭の採掘.坑道を支えるのにカラマツを用いた.植林した.しかしそれでは坑道を奥に伸ばせないので鉄材が使われるようになった.カラマツ植林は放置された.
トピック
・ 先史時代の陸と海の資源利用
Ø エゾアワビ漁と遺跡(里山と関連させて.里山はあったのか)
・ 水産資源と森林資源の利用
Ø 魚付林:数値的に調べていくのは困難.
Ø 鰊漁関係の資料は使えそう(これぐらいの鰊を加工するにはこれくらいの燃料が必要だ,というのは計算できる).
Ø スケソウダラ漁の資料.
Ø ニシン漁←水産資源の数値化
Ø 種川の利用と人工孵化
・ アイヌ文化の環境思想と環境知識
・ たとえばこういうこともやろうと思えばできる
Ø 北海道のシカとオオカミ:家畜がオオカミにやられる
・ 近世後期に日本各地で飢饉と災害が多い.これは何故.
Ø 水稲耕作に依存する生業→年貢→モノカルチャー→寒冷→飢饉
・ 「飢饉と災害の起こるメカニズム」というのはひとつ重要なトピック.全国で起こっている.
・ 「盛岡藩御狩り日記」.東北での獣は重要.
・ 八戸藩・盛岡藩で獣の動向が違う.増えているときもあるし,減っているときもある.いろいろ要因は考えられていて,
Ø オオカミの駆除
Ø 大豆の生産
Ø 生類憐みの令
Ø 狩をしなかった
Ø 新田開発しなかった
Ø 明治の狩猟圧
Ø 獣の伝染病
・ 東北の獣変遷.ガバナンスとして徳川幕府の生類憐みの令と藩による狩猟体制や土地管理の違いが藩による獣害の出方の違いになったのではないか.
・ オオカミ,シカ,イノシシが出没した地名を地図にプロットすると偏りが見えるか?
トピック
・ 東北の獣変遷:生類憐みの令,
Ø 北上地方を中心にした,藩による獣との付き合いの違い(獣害・狩猟・牧場・駆除),
Ø 畑作などの土地利用形態,
Ø オオカミ・イノシシ・シカとの関係
・ 気象条件(冷害)
Ø 耕作地の荒地化
トピック
・ 中部地域の山林にどれだけ実効支配
・ 巣鷹山を中心とした,巣鷹山の巣鷹を介した森林利用(越後と信濃側の支配と土地利用のあり方).
・ 焼畑をすることでどれだけの人口を養うことができたのか
・ 木地屋の問題:木地屋に実効支配がどれだけあったのか
Ø 秋山の木地屋
・ 生活様式の変容,食生活・耐久消費財・3種の神器(近現代以降)
・ 牛馬の飼育:農耕・食肉・運搬用.1960~70年代に中止.
・ 山地利用の変遷.木工・薪炭用の伐採.
・ 集落所有(一部個人所有,焼畑耕作地に関して)
トピック
(1)地域の需給バランスは歴史的にどう変化した?
a. 古代の杣:資源枯渇した杣は通常の荘園などに変化
b. 木材流通:桃山期以降、京都への物流の大動脈、木津川船運
c. 江戸〜明治の薪炭:江戸末の薪炭の大量流通、競争力のある商品作物へのシフト(台場クヌギなど)
技術史,農書,林業史を基に,
産物の生産量(木材,薪炭,マツタケなど)を復元する.
(2)人口集中,資源収奪による問題の歴史が長い
はげ山の歴史(・はげ山・草山の面積か件数)
災害の歴史(・相論・災害史・獣害)
それに対する政策の歴史
トピック
・ 草原の歴史(火山史・災害史・牛馬史・観光史)
・ 阿蘇山ありきで、火山史・災害史・牛馬史・観光史のアノテーションが比較的把握しやすい。
→どれも通史的には把握ができるが、中世以前は数量データが皆無である。
→理化学的な分析データによる環境史から、事件史を読み解きなおす必要。
・ ガバナンスのレベルと変遷ははっきりしている。
→狩猟の場から、放牧の場へ。
→しかし、近世資料に当たらなければ数量化できない。
・ 観光史
→山岳信仰の場
→修験の場
→ 参拝の場
→観光(登山参拝→スポーツ登山→ドライブ)
トピック
・ 交易・貢納産物の採捕(生産)
海;ヤコウガイ(先史)・ジュゴン(近世〜近代)シラヒゲウニ(近代)
陸;サトウキビ(近世〜近代)
・ 森林伐採と森林管理
近世の林政(蔡温政策)と杣山利用
砂糖生産に必要な薪・材の量の推定
・ 災害と対策
ソテツ(救荒作物)栽培と利用
(1)重層するガバナンスのわかる年表
Ø 環境史を解析する際にガバナンスレイヤーを入れてみる.自然,個人,ムラ,地方行政,政府,国家間
Ø ガバナンスが複層化することによって資源利用のあり方が変わる例.
(2)「賢明な利用」と「非賢明な利用」の具体例
Ø さまざまなトピックから具体例を抽出する
(3)歴史の画期がわかるもの
Ø 通史の中で広域ガバナンスは「人と自然の関係」をどのように変革させてきたのか
・ さまざまなトピックを元にケーススタディーを積み重ね,日本列島における自然利用の実態を一般化したい
Ø 生物資源の枯渇と克服の歴史
Ø 自然の姿の変化
Ø 人間による自然利用の思想
・ 時間を取り扱う難しさ → 解析ソフトの利用
・ 環境ガバナンスの重層が良くわかる個別の例.各班に最低ひとつ
Ø いろいろトピックは思いつく
Ø 本当にデータの収集が可能なトピックどれ?
Ø 班のメンバーと相談するとともに計画をよく議論する
・ 各班・各時代の個別の例を縦に並べて比較すると一般化・抽象化できるだろう.
・ その一般化によって現代における「人と自然の関係」の問題点の解消方法や今後の動向などが予想できるかも
Ø たとえば野生動物とのかかわり方(シカ問題)
Ø 森林利用と管理
・ ガバナンスレイヤー層
(0)自然:人為でなく自然の行為.たとえば災害・冷害.
(1)個人〜イエ:行為を受けるまたは行う最小単位
(2)ムラ:行為を受ける最小単位である「個人〜イエ」よりも大きく地方行政よりも小さいスケール.「個人〜イエ」の自治的集団
(3)地方行政:地方スケールでの行為.ただしムラよりも大きく中央政府よりも小さいスケール.都道府県・市区町村などの役場,藩,大名など
(4)政府:日本列島スケールでの行為.たとえば徳川幕府,明治政府,大和政権など
(5)国家間スケール以上
・ トピックをどうまとめるか
Ø いつ・どういう形式でまとめるか?
Ø 巻各章の原稿締め切り(2009年12月)に先立つ,2009年8月くらいには「final的ななにか」ができていることが望ましい.
² それぞれの生態で通史の環境史を作成することで巻冒頭の「XXの環境史年表」を執筆することができる.
² さらに,巻のそれぞれの章についても環境史年表を俯瞰することによって文章が書きやすくなる効果もある.でも環境史の作成は各章執筆のためのデータ集めがなされることで環境史が作成できるので,「環境史年表作成は各章執筆に先立つ」などと言っていたらいつまで経っても文章は執筆されないだろう.
Ø 2009年9月に環境史関連のWSを開催することが2008年12月7日のコアメンバ会議で決定した.
・ 環境史WGは何を目指す
(1)トピックごとのより深い理解
(2)さまざまな生態系(各巻)での自然利用の通史
(3)ケーススタディを積み重ねて,さまざまな生態系を含む日本列島での人と自然の関係のパタンを見出す
・ 今後のWGの予定
Ø 2009年5月(日程調整によっては4月になるかも)に横浜で第6巻にかかわるWS(コアメンバー+αが対象)が開かれることが決定したので,その前日程にも会合を開いてWSでの発表に望む!それまでに,
² 地域班のトピック選択
² トピックに特化したデータの収集
² ガッ!と解析
² その上で何をどう見せるかを考える.その時の議題はやはり3つある
1) 各地域で取り組んだ複数のトピックをより深く理解することができているのか
2) 地域班の協働によってさまざまな生態系(各巻)での自然利用の通史を画期がわかるように描き出せているのか
3) ケーススタディを積み重ねて,さまざまな生態系を含む日本列島での人と自然の関係のパタンを見出す(一般化).たくさんのトピックをより深く理解することができたなら,それらの要因を「メタ解析」できないか試みてみる(イメージとしてはダイヤモンドの「文明崩壊」).
² 上の3つの議題は大きなものであるから,9月のWSとそれに先立つ8月の環境史WG締め切りまでに1-3)をやり遂げるためのロジを立てる.
Ø 2009年9月に環境史関連のWSを開催.
² ここで発表すべきは上に上げた3点であろう.1) トピックの各論,2) 生態系ごとの通史,3) 人と自然の関係の一般化.
² 2008年度の阿蘇シンポ程度の規模で行われる.開催地などは未定.
Ø 2009年11月28-29日.2009年度全体集会.
² プロジェクト4年目である2010年2月に列島プロの最終評価が入るので,それに先立って4年間の研究によって何がわかったのかを集大成する.最終評価のいかんによって最終年度の列島プロの振る舞いは決まる.
・ 心性・信仰・自然観の歴史的視点を入れたほうがよい
Ø 殺生禁断
Ø カミと人界の隔離
Ø 草木供養塔
Ø 廃仏毀釈
・ 時空間スケール
・ 災害の全国データベースはあるのか?
Ø 阿蘇ではある.
Ø 京都もある.京都の災害史は立命館大のHP(http://www.rits-dmuch.jp/rekishisaigai/6go.html)に文書としてはあった.OCRソフトを用いればエクセルデータにすることもできるかもしれないが膨大なデータ量である.
Ø 歴博が持っているのでは?
・ ガバナンスレイヤーの数
Ø 「自然+個人・ムラ・地方行政・政府+国家間以上」程度でとりあえず.
Ø 中世はガバナンスが崩壊した時代だからその他の時代と比較するとおもしろそうだ.
・ 要検討事項
Ø データベースを再利用可能にどうやって作り変えるか.
Ø クレジットをどうするか.生データを発掘した研究者にどうクレジットを残すか.
Ø 不幸ではない明るい未来をどう提言するか
Ø まずはトピックをひとつひとつ丁寧に見ていく必要がある.トピックのタイトル・必要なデータセット・なにがどうなったのかの簡単な顛末記くらいを整理してみてはどうだろうか.
・ 2008/11/20くらいから各地域班のデータを送ってもらいHu-Timeにインポートできる形に整形していった.
・ さらに鬼頭(2000)などによって日本列島の人口データを入力し,インポートした.
・ 気温の変遷データを既存の論文などから引用してデジタイズした.
・
2008年10月20日,地球研4研究室にて会合.
参加者:湯本貴和,三戸幸久,寺島宏貴,堀内美緒,上野淳也,蛯原一平,関野樹,村上由美子,瀬尾明弘,辻野亮
北から順に,東北班,中部班,近畿班,九州班,奄美沖縄班による説明と質疑.
<休憩>
議論
・ ガバナンスレイヤー層
Ø 個人〜行政単位(藩・集落・古代の郡)
Ø 小さな変化が大きな変化につながる.ガバナンスの変化がどの層から発生し,どのように波及するのか.
Ø どこまで標準化できるのか.
・ 時代・空間スケール
目盛の問題:近現代になるほど記述できる事柄の密度は濃くなるけれども古代などはあまりない.
年表とはgeneralなものの気がするが,各巻(各班)が特定のテーマをもってまとめる.
人口,世帯数
気候:気温など計測されるようになってからのデータ.各地域スケールでは気候変動を取り扱えるデータはなかろう.日本列島スケールまたは北半球スケールで議論する必要がある.
植生:氷見山さんの日本列島アトラス(1850年ころ以降のデータ),地域特異的なボーリングコアデータ(切り口を考える.近畿におけるマツ属花粉の変化,秋山における焼畑作物の花粉など).
社会・経済システムの変化
技術革新:二期作,品種改良,
山林・田畑の面積
動物相
災害:火山・地震・水害・津波・冷害
各巻において議論の中心となるテーマに即した基盤データは以下のようになろう.
草と原巻:牛馬,火山,草原の草の利用形態,阿蘇氏の年表,草原の面積,観光客数,植林・新田開発,災害
里と林巻:薪炭林面積,炭・薪の生産量,商品作物の導入史,禿山の歴史(件数・場所)
海と島巻:水族,海産生物資源(海棲哺乳類・ジュゴン・ラッコ・ナマコ・ヤコウガイ・コンブ・ニシン・など)の捕獲量,マングローブ・魚付林の面積と分布,災害
山と森巻:森林地図,植物種の分布と利用形態,牛馬の戸籍・個体数,地形発達史,乱伐による森林面積の変化,伐採量の変化,観光客数,植林・新田開発,コウゾ・ウルシなどの植林,果樹
ただし,これらはデータとして利用可能かは考えず,羅列した項目なので利用可能かどうかはまた別途考える.
・ 資源の枯渇と克服の歴史を資料として裏付けられるのか.
・ 法律,法制度,考え方の歴史,税制史,開発史,基地問題,行政によるトップダウンがどれほど有効か,争論(人と人のコンフリクト),
・ 一覧性:一目でわかる形に収める.
・ 適切な策(政策・技術革新の導入など)によって生産性や石高は高くなったのか(たとえば,米沢藩では飢饉の年でも餓死者が出なかった.これは政治過程によるのだろうか).まじめにやったら良くなるのか.良くなった点と悪くなった点.
・ 地域の需給バランスがとれていたのか.
・ 繰り返される現象に対して各時代各地域の人々がなにをどう行ってきたのか.
1)人間文化研究機構で開発しているツールを利用するか.
蓄積されつつデータを利用可能な形で継承する意味,共同研究としての情報共有,統一したフォームで環境史年表を議論する意味などにおいて利用する価値は高いので利用する.
開発中のソフトはまだ一般に公開する段階ではないので関野さんを通じてメンバーに配布し,データ作成とインポートを行う.辻野がまずソフトの使い方を関野さんから学ぶ.
2)次の会合の時期(阿蘇でのコアメンバ会議によると12月全体集会までに2,3回集まるとした)
あと一月半でどこまで新規データの作成ができるかは疑問.もう一度会って話し合うのではなく,全体集会の直前に日程をくっつけて,現在までに得られている年表の基データをインポートして成果物を見ることで,全体集会で話すべき内容を議論する.すなわち日程は2008年12月5日の昼から翌日の昼まで.地球研にて行う.遠方からの来所者には地球研ハウスの予約を早速とる.三戸さん,上野さん,寺島さん,堀内さんが対象者なので, 1人部屋を4つ予約した.
3)それまでにすること.
それぞれの巻とすべての巻で取り扱うべき基盤データ,さらに個別資料をエクセルのデータにまとめる.現在手元にあるか,ちょっと調べればわかる程度のデータを対象としてまとめ,今回データとして出すことができない(または難しい)ものはとりあえず無視する.全体集会では環境史WGがどの方向を向いてどの程度までやっているのかを発表する(だれがどうやって発表するかは追々考える).
12月5日にいきなり各自がデータを持ち寄ってデータインポートすることは無理なので,11月半ばぐらいを目処に辻野がWGメンバーからデータを送ってもらってあらかじめ試行錯誤しておく.
サハリン班:なし
北海道班: 右代啓視ushiro.hiroshi@@pref.hokkaido.lg.jp (職場),ushiro_h@@wave.plala.or.jp (自宅)
東北班:三戸幸久HZW01315@nifty.com
中部班:寺島宏貴tera_sitespecific0919@@hotmail.com
近畿班:堀内美緒h-mio@@a01.mbox.media.kyoto-u.ac.jp
九州班:上野淳也junya-u1378@@hotmail.co.jp
奄美沖縄班:蛯原一平ipeebi@@yd6.so-net.ne.jp
古生態班:未定
Hu-time:関野樹sekino@@chikyu.ac.jp
事務:辻野亮turi@@chikyu.ac.jp
地球研:佐々木尚子,石丸恵利子,村上由美子,瀬尾明弘,湯本貴和
ushiro.hiroshi@@pref.hokkaido.lg.jp, ushiro_h@@wave.plala.or.jp, HZW01315@@nifty.com, tera_sitespecific0919@@hotmail.com, h-mio@@a01.mbox.media.kyoto-u.ac.jp, junya-u1378@@hotmail.co.jp, ipeebi@@yd6.so-net.ne.jp, sekino@@chikyu.ac.jp, turi@@chikyu.ac.jp, sasaki_n@@chikyu.ac.jp, ishimaru@@chikyu.ac.jp, mura@@chikyu.ac.jp, aseo@@chikyu.ac.jp, yumoto@@chikyu.ac.jp